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精神科医と１７歳の美少女の患者との関わりを描いた、
読み応えのある、多島斗志之の作品である。

多重人格（解離性同一性障害）を描いた作品は他にもあるが、
私にとっては最も説得力があり、お薦めの１冊である。

男性の精神科医・榊と女性の臨床心理士･広瀬との対立、
そして理解に至るまでのストーリーも興味深い。

また、重要文化財の贋作という事件も絡まって、スリルある展開となっており、
厚い本であるが、あっという間に読めてしまう。

作者の多島斗志之は、この作品のために、７年もの準備期間を要したという。
それだけに、心の病に苦しむ人々に向ける眼差しの暖かさが感じられ、
繊細なテーマを非常に丁寧に描いていることが、読者に伝わってくるのである。