いじめを受けた男子生徒の復讐劇、と一言では片付けられない深い悲しみ、恐ろしさ・・・
何ともいえない、辛い作品だった。
いじめは、もちろん許しがたい卑劣な行為だ。
しかしそれをいつまでも根に持って、復讐だけを考えて生きていくのは、悲しすぎるし、
またそうなってしまった人間は、もはや人間ではない。
もちろん、復讐魔と化した人間を、一方的に攻めることはできない。
「なんで、あの頃、あんなひどいいじめをしたんだろう?」と加害者はのんきに振り返るが、
残酷ないじめに合った方の心の傷は生半可ではなく、なかなか癒されることはないのだ。
加害者にとって、いじめをしたという事実は、一生背負っていかなくてはいけない罪、
自分と向き合い、一生考えていかなければいけない問題だということを、痛感させられた。
コールドゲーム
主人公の渡辺光也は、高校3年生。
野球の夏の大会で、予選1回戦をコールドゲームで落とし、引退したばかりだ。
その夏に、中2のクラスで集団によるいじめにあった、トロ吉の復讐劇が始まる。
光也は、当時、いじめには加わらなかった。何もしなかった、見て見ぬフリをした。
いじめの主犯格の山岸亮太と共に、光也はトロ吉を見つけ出そうとする。
どうやらトロ吉は、自分にされたいじめに見合った復讐を、
1人ずつにやリ返しているようなのだ。
報復を予告するような不気味なメールや、自ら投函したと思われる手紙が、
かつての旧友たちに届く。
次々に仕返しが行われるが、未然に防ぐことができず、ついに2人も死者が出てしまう。
いよいよ残るは亮太と、光也となったとき、
2人で見張っていたトロ吉の家の中に異変が見られ、思わず飛び込むが・・・
意外な結末!
心も凍りつくような真実!