去年の春頃から読み出した、このシリーズの第1弾である。
京極堂シリーズは、現在第8弾まで出版されている。
1冊読むと、次も・・・と待ちきれなくなり、次々読んだものである。
分厚い本で、上下2段に分かれており、活字中毒にはもうたまらない重量感だ。
古本屋であり、憑き物落としの京極堂がまた、理屈っぽく異常にものしりなのだ。
特に妖怪や宗教について語らせたら、話が尽きることが無い。
昨年、本作は映画化され話題になったが、登場人物がみな魅力的なのだ。
大学時代の友人や戦友から常に馬鹿にされ、
友人と認めてもらえない作家の関口巽は、鬱病気味の男。
刑事の木場修は人情にもろい熱血漢。
美男子で貴族出の探偵・榎木津礼二郎は、見かけと違い常識はずれで滅茶苦茶で、
人の過去が見える。
この4人の他、シリーズが進むにつれ、さらに新たなキャラクターが加わり、
複雑に絡み合っていく。
もう、本当にたまらない。
本作を読み出して、
京極堂の能書きや理屈にうんざりする人は読み進めないかもしれないが、
ツボにはまった人は、きっと第8弾まで我慢できずに読んでしまうだろう。
「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口くん」
こう言いながら、京極堂は奇怪な事件の謎を解き、彼なりのやり方で解決していく。
つまり、憑き物を落とすのだ。
本作は、昭和20年代のこと・・・
東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)にある久遠寺医院に、
奇怪な噂が流れていることを耳にした関口巽が、
京極堂に話を聞きにくるところから話が始まる。
その噂とは、娘が20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したというのだ。
衝撃的な結末に、のけぞること間違いなし!
どの作品が好きかと聞かれたら、本当に難しい。
それぞれに味があり、甲乙つけがたいからだ。
しいて言うなら、‘魍魎(もうりょう)の匣’‘鉄鼠の檻(てっそのおり)’
‘塗仏の宴 宴の支度’‘塗仏の宴 宴の始末’かな・・・?
もちろん、‘狂骨の夢’‘絡新婦(じょろうぐも)の理’‘陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕(きず)’
も、面白い!
皆さんは、どれが好きだろうか?
いずれにせよ、妖怪がらみのこのシリーズ、これから夏にピッタリと言えよう。