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カテゴリ:読書
ようやく図書館で予約待ちしていた、
奥田英朗氏の人気シリーズの最新作が手元に届いた。 ゲラゲラ笑いながら、あっという間に読み終えた。 本作は4篇の短篇からなっており、 神経科医の伊良部一郎にかかる患者が<町長選挙>を除いて、 全て有名人をモデルにしている。 <オーナー>の患者は、某プロ球団の威張り腐っているオーナー・ナベマンこと田辺満雄、 <アンポンマン>の患者は東大出身でライブファストというIT企業の社長・安保貴明、 <カリスマ稼業>は、40台にして若さと美貌で絶大な人気を誇る 歌劇団出身の女優・白木カオルである。 読んでいても、モデルになっている人物の顔や姿、声が浮かび、 それがまた、ピッタリ重なってくるのがおかしい。 相手が有名だろうが社会的地位があろうが、全くかまわず、 言いたい放題の伊良部の傍若無人な態度が、相変わらず小気味よい。 ものすごく低俗で馬鹿っぽく幼稚なのだが、たまに的を射るようなことを言う伊良部は、 真性の馬鹿なのか、立派な精神科医なのか? いずれにせよ、最初はどの患者も伊良部の所になど2度と行くものかと憤慨するのだが、 不思議なことに、なぜか「また、また来てね」という言葉に抗えなくなり、 診察室に自然と足が向いてしまう。 無愛想で態度は悪いが、胸の谷間をちらつかせて男性の患者の気を引く、 美人な看護婦・マユミもパワー炸裂だ。 奥田氏は、究極に変わった人物、社会性や常識の全くない人物を、 かくも魅力的に愛らしく描くのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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