これも、せりのりさんが以前薦めておられた荻原 浩の本格ミステリーだ。
WOM ― WORD OF MOUTH
つまり口コミを利用して情報操作し、商品を売ろうとする広告代理店。
どこでもそうだと言ってしまえばそれまでだが、このコムサイト社は、
作り話の悪い噂を流布したり、
競合店のイメージを大きく損なうようなひどい噂を広めたりする、かなり悪質な企業である。
コムサイト社の女社長・杖村は、悪い噂ほど人が好み、
喜んで広めてくれることを、よく知っていたのだ。
ある日、コムサイト社は、「ミリエル」という香水を流行らせるために、
女子高生のモニターを集め、何気なくある噂を流した。
それは・・・
以前ニューヨークで、晴れた日でも真っ黒なレインコートを着たレイプ魔が出没し、
ティーンエイジの子ばかりを狙ったという。
手口はむごく、逃げられないように女の子の足首を切り落とすのだ。
でも、なぜか「ミリエル」の香水をつけている女の子は狙わない。
その犯人は実は日本人で、今日本に戻っていて、渋谷界隈に潜んでいるらしい。
・・・などという根も葉もない噂である。
ところが、しばらくして、実際に足首のない少女の死体が発見された!
病で妻を亡くし女子高生の娘と2人暮らしの小暮刑事と、
殉職で夫を失った名島警部補とがチームを組み、
事件の謎を解き明かしていく様が面白い。
そして、2人はついに犯人を突き止める。
しかし、ラストに、意外な大どんでん返しが・・・!!
あまりの衝撃に、えーっ!! と思わず叫び、鳥肌が立つのであった。