今まさに、高校野球のシーズン。
本作品は、昭和39年、春の選抜高校野球のある試合から始まる。
『魔球』とは、一体どんな球なのか?
また、『魔球』が、相次いで起こる事件とどのように関わっているのか?
その真相に近づくにつれ、その巧みさに、さすが東野さん、と唸らされる。
天才投手・須田武志のおかげで、初の甲子園出場を果たした開陽高校。
1回戦強豪校を相手に、最終回まで1-0でリードを守ってきた。
しかし、仲間のありえないようなエラーのために、
須田は、9回裏二死満塁のピンチを迎える。
そして、相手の4番打者を迎え、須田が最後に投げたボールは?!
あろうことか、暴投となり、逆転サヨナラ負けとなった。
春の選抜が始まる5日前に、東西電機という会社に、爆弾が仕掛けられる。
結局、爆発しない仕組みになっていたことがわかり、被害は出なかったが、
悪戯にしては込み入った手口だったため、犯人の狙いが不明だ。
方や開陽高校では、春休みが終わり新学期に入ってすぐに、
須田武志の女房役であるキャッチャーの北岡明の死体が、愛犬と共に見つかる。
そして、東西電機では、爆破計画の脅迫と社長拉致事件が起こり、
さらに、須田武志の身にも・・・!
全く関係がないと思われる東西電機と高校球児との事件とが、
ある人物によって結びつけらていく。
『魔球』というキーワードの謎は?!
殺人を犯した犯人とは?
真実を知ったとき、それは深い悲しみに包まれていたことが、
私たちに明かされるのだ。