予想通り、再試合の決勝戦もすばらしい試合だった。
早実の先発投手は、恐るべし、連投に連投を重ねた斎藤君!!
相当疲れもたまってきているはず。
ところが、そんな心配もどこへやら、
斎藤君はいつものクールな表情で、次々に三振をとっていく。
一方駒大苫小牧の田中君は先発から外れたものの、1回表でピンチになると早速登場した。
実質上、斉藤対田中の一騎打ちとなった。
こつこつと点を重ねていく早実が、4-1とリード。
そして迎えた、9回表の駒大苫小牧の攻撃。もう、後が無い!
斎藤君の安定したピッチングをもはや打ち崩せまいと思いきや、
そう簡単に済ませないところは、さすが3連覇をかけた駒大苫小牧!。
ノーアウト一塁から、ホームランを打ち、1点差に迫る。
ここまで、盛り上げてくれるとは!
興奮のるつぼである!
けれども、そこで冷静さを失わなかった、斎藤君はさらにすごかった!!
2アウトまできちんと取り、最後に迎える打者はなんと!ピッチャー田中君。
ドラマティックな展開だ!
1球1球を固唾を飲んで見守った。
この土壇場に来て、147キロを投げる斎藤君。
最後まで諦めず、ファールで粘る田中くん。
そして、ついに最後の1球・・・田中君が空振りして、空を仰ぐ。
早稲田実業が悲願の優勝を果たした。
悔し涙を流している駒大苫小牧ナインの中で、田中君は決して涙を見せなかった。
むしろ、力を尽くしたためなのか、さっぱりしているようにさえ見えた。
1人で投げきり優勝を手にした斎藤君の方は、これまでのクールな表情が崩れ、
初めて歓喜の、そして苦しみを乗り越えてきた涙を流していた。
彼らの姿に、胸が熱くなった・・・