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カテゴリ:読書
久々に読む時代小説。
乙川優三郎氏の作品は初めてだ。 暗くなりがちな題材だが、じめじめした感じがない。 それは、登場人物の修次とちせという男女が、悲惨な状況の中でも、 常に前向きに強く生きようとしているからだ。 松戸・平潟河岸の遊女ちせを身請けするために、 ひたすら仕事に打ち込む高瀬舟の船頭・修次。 貧しさ故に13歳で女衒に売られ、15の歳から客を取らされ、年季が明けるのを待つちせ。 しかし年季が明けたところで、勤めるうちに新たな借金が出来る仕組みになっているので、 すぐに自由になれるわけではない。 身も心もぼろぼろになり、擦り切れるまで過酷に働かされ、希望の見えない日々が続く。 そんな中で、いつか修次と一緒になることだけが、ちせにとって光だった。 修次もいつかちせを自由にするために、死に物狂いで働きに働いていた。 ところが年季もじき明けようという頃、予期せぬ出来事が起こり、2人の夢を阻む。 しかし2人は希望を捨てず、最後まで諦めない。 その逞しさに、勇気づけられるのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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