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カテゴリ:読書
劇団ひとりは、テレビに出始めた頃から気になる芸人の1人だった。
屈折していて自虐的で、どこか壊れていて、めちゃくちゃ暑苦しくて・・・ でも、頭のよさも感じられ、クールな面もある。 そんな彼の処女作‘陰日向に咲く’。 タイトルも表紙もなかなかよい。 道草 拝啓、僕のアイドル様 ピンボケな私 Over run 鳴き砂を歩く犬 という5つの短篇が、一見独立しているようで、実は登場人物があちこちで交錯しており、 上手く絡み合っている。 計算高く、冷めたような文体なのだが、一方で内に秘められた「熱」が感じられる。 彼の温かさ、人のよさが、ちょっとひねくれて現れているところが面白い。 やっぱり、屈折してるなぁ・・・ 以前雑誌のインタビューで、彼は、 「人見知りが激しく、あまり友達も作らず、家の中に引きこもっていることの方が好きだ」 と、語っていた。 そして、物の見方・考え方も基本的にネガティブシンキング(悲観的)だと言う。 「ネガティブシンキングする自分を、ポジティブに受け止めている」 その心持ちが、彼の源泉なのであろう。 ‘陰日向に咲く’・・・本作にも彼の持ち味が十分に発揮されている。 気軽に読めるので、活字が苦手な人にもお薦めである。 逆に言うと、活字中毒の人にはちょっと物足りないかも。 でも、次の作品がまた楽しみになるのは確かだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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