|
カテゴリ:読書
何とも、悲しく、やるせない物語である。
ある日、事件に巻き込まれ、銃弾で頭を貫かれ、重体に陥ったごく普通の青年。 脳を大きく破損され、植物状態が免れない状況だったが、 奇跡的にも医療によって救われる。 それは、世界初の脳移植手術だった。 術後、順調に回復しているように思われた。 しかし、徐々に彼は不安や不快さを感じ始める。 手術前の自分と違う・・・日に日に違う部分が拡がっていく。 穏やかで地味だった性格が、積極的で攻撃的な性格に変わっている。 しかも、かなり過激で、暴力的な人間に変貌していく自分を、 コントロールできない。 これはきっと、ドナーの脳の影響を受けているに違いないと考え始める。 ドナーは、誰か、どんな人間なのか、彼は自分自身で突き止める。 しかし・・・! 自分自身が、崩壊していくのを防ぐことが出来ない。 これほど辛く、恐怖することはないだろう。 自分が他の人間の脳に支配され、ついには元の自分が消されてしまうのだ。 臓器移植についても、深く考えさせられる作品である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|