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カテゴリ:心をめぐる冒険
思いがけず、足止めを食らったり、待たされたりする羽目に陥ったとき、 ポケットに本も入っていなければ、ウォークマンもない。 メールする相手も特にないし、お喋りのできる相手もいない。 口に放り込むビスケットもないし、手のひらを見ても飽きる。 落書き帳も鉛筆も持っていないし、昼寝するほど眠くもない。 目の前の壁は真っ白だし、見るべき風景もなければ、 観察すべき人物もいない。 修正、検討すべき計画も、分析、解決すべき問題も持ち上がっていない。 そんなときは、当てもなく夢想するか、 心に宿したある面影を楽しむか、 お気に入りの映画を脳内で再生するか、 心懐かしむ名曲を脳内で響かせるか、 心に引っ掛かった小説や詩の一節を繰り返すか、 自分でそういうものを作ってしまうか、 とにかくあくせく何かしようとする。 このように全く何もしないで「ただある」ということは難しい。 もとより「ただある」必要があるわけではないが。 昔、ジョン・レノンが六秒間の無音状態をレコードに吹き込んで、 この沈黙の時間に自分の好きな歌を思い浮かべれば、それが国歌になる、 という『ヌートピア国際賛歌』を作った。 口を閉ざして身動き一つしなくても、 自分の世界は作られてしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 8, 2005 03:03:19 AM
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