夏の夜はブルースで
15日の夜の国立での酒宴の模様を「ひぐま」氏の日記http://higuma55.hp.infoseek.co.jp/から無断転載する。彼の音楽の才能は、私が言うのもなんだが、ちょっと素人ばなれしていると思う。中学生のときには独学でピアノ(わが家にはなかったが、その代用品らしきもの)を弾くことができた。音楽のあらゆるジャンルに詳しいのだが、ジャズには人には言えないような様様な想い出もあるらしい。いつかはお互いにゆっくりと語り合える日がくるだろう。夏の夜はブルースで (水島 修)蕃さん、福間さん、takrankeさんの、グループに突然乱入して、昨夜は久しぶりに国立の夜。出不精ばっかりでは目の前が開かれない。今後もこんな機会があればどんどん出て行こうと思った。酔っぱらうと次の柵を考えられなくなるので、朝蕃さんの家で目が覚めた時は正直焦った。だが、私は蕃さんの正式な弟なのでそれはそれでいいのである。朝焼けの八王子市片倉を風のようにすり抜けながら、二日酔いの頭で私が考えたことは、なんだったろうか。 昨夜のはしゃぎブリ。国立の静かな音楽茶房「奏」で、お客さんが途切れたのをいいことに、マスターからギターを拝借して、Eのコードでフォービートのブルースもどきをずーと弾いていた。第一弦でEをならしたまま二弦をグリッサンドさせると、それらしい雰囲気が出るから不思議。しまいは低音でBBC#Eと弾くとばっちり決まる。これをダウンストロークで力強くたたきつけるように弾きながら、即興の詩を乗せる。最初は拓郎のやせっぽちのブルースから、 風が吹いてきたよ。心の中を吹き抜ける。 おまえさん、どこから飛んできたの。 やさしい街で恋をして、ふられてこの街に きたっていうのかい。 今日のゲストは、今日のゲストは 春日部から来たひぐまさん。 随分恋をしてないなって思ったら、 いつの間にか娘に彼氏ができちゃった。Oh,ya! チララチラチラブブブンブ(ここグリッサンド) しばらく、ブンチャブンチャブンチャブンチャと4ビートで Eを鳴らし続けるけれど、ときどきF#をつかんで不協和音にしたり、小技を入れることを忘れない。 次の歌詞が出てくるまで、この姿勢で待つ。 ・・・。そんなことを続けながら、終電まで国立。自分一人が楽しんだが、ご一同には実に申し訳ないことでありました。 「奏」のマスターが日本を代表するジャズピアニスト渋谷毅さんのお知り合いであったことが分かって驚愕。 渋谷さんは鹿児島の精神科医K池博士の従兄弟に当たる方。ご子息の家庭教師を引き受けていた縁で、渋谷さんの話もたくさん伺った。鹿児島公演があると(たぶん70年代だと思うけれど)夜通し天文館で飲んできて、朝目が覚めて、やおらピアノに向かったかと思うと、びっくりするくらいの速さでピアノを弾きまくったそうだ。そしてその後は宵が来るまでずーっとピアノを弾きどおし。夜になると天文館。と言う生活だったそうです。かっこよすぎ。 K博士は音楽にはとんと暗くて、「ひぐまさん、ジャズなんかお聴きですか?」「よおー、聞いとります。(当時)」「渋谷毅ってご存じですか。」「いや、それは。知るも知らぬもあふさかのせき、ってやつですが」「ほー、じゃ、このレコードもらって下さい。」といって、渋谷の初リーダーアルバム。もらったのでした。ああ、ここまで書いてギターは中牟礼さんだったと思い至る。すばらしいLPだったがもう手に入らない。ジャズのレコードを売り払った時、店主が渋谷さんのLPを手にとって「ほんとにいいんですか?」と言った。 あの言葉の意味、当時も分かっていたつもりだが、本当は分かっていなかった。