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テーマ:お勧めの本(7400)
カテゴリ:聴、読、沁。
ドキっとしたのは、この横向きのフォルム。どうよ? 「美しい」と思いまへんか? “特撮”監督としては、日本で一番有名な実相寺昭雄さんが以前に上梓された3冊のウルトラ関連本、『ウルトラマンのできるまで』と『ウルトラマンに夢見た男たち』の2冊を合本し、加筆した作品。 “ウルトラマン”というより、1話に一度きり、色々な性格や性質を持たされて産み落とされ、殺されてきた“怪獣”たちへの愛情を深く感じる語りが印象に残る。 因みに実相寺監督が『ウルトラマン』で出現させた“怪獣”はどれも個性的。 宇宙飛行士がとある星で遭難し変異してしまったジャミラ。「宇宙墓場へ帰りたい」それだけを願い、ウルトラマンにしがみつくシーボーズ。美しい真珠を食料にする醜悪な姿のガマクジラ。ただ単に重いだけで地球上の邪魔者として扱われるスカイドン。 食事中だったハヤタ隊員は変身する時、思わずカレースプーンを天にかざす。などのシークエンスも彼ならではでしょう。 当時、誰も手がけた事のない怪獣特撮。ひょんな事から生まれた成功法や思いがけない苦労話を、当時の各ジャンル(デザイン・成形・撮影・編集・作曲・音響など)の担当者への取材、インタビューも含め、イラスト入りで解説されている。 もちろん、「ウルトラ特撮の祖」円谷英二さんの作品に対する愛情や、その息子さんの一さんと真剣に夢について語り合った行など、読むボクを引き込む。 実は、昔(ティガからダイナに替わる頃)、現在の円谷プロの代表、円谷一夫さんと制作部門のドン、大岡さんにお会いした事があるんです。 毎年、関西(その年は今はなき“阪神パーク”でした)で行われていた『ウルトラマンフェスティバル』で、ボクが制作・演出のお手伝いをさせていただいていた時に、「視聴者怪獣デザインコンテスト」の表彰式もあり、フェスティバルの雰囲気を確かめに来られました。 物腰の優しい一夫さんと、ふっと視線を遣っただけでスタッフが直立するほどの威厳を持った大岡さん。 「あぁ、こういう人たちが“ウルトラ”の核になっているんだな。」と感じたね。 さらに余談。オレも着たコト、あるねん、ウルトラマン。 ウレタンが主材の怪獣もそうやけど、特にウルトラヒーロー系は、全身がウェットスーツなので、着ると皮膚呼吸が出来なくなる。一度着せてもらった時、腰までウェットを引き上げた時点で汗が滝のように噴き出す。 マスクを付けると極端に視界と息が不自由になり、閉所恐怖症に近いパニックになる。ジッパーを閉める前に逃げ出した。 ショーのキャストは、それを着てバク転や側転をしながら殺陣廻りをするわけ。 5分ほどステージで芝居をすると、舞台袖に飛び込んでウェットの上をはだけ、酸素吸入をする、っていう繰り返しでした。 件のフェスティバルは夏休みまっただ中、キャストにとっては地獄の毎日。 30分ほどのショー、多い日は1日5回とか6回。会場の外でも暑い中、次のショーの順番を待つ親子連れ。観る方も地獄ですな。空いてる(ショーに使用していない)ヒーローを使って、待っているお客さんにグリーティング(握手して歩いていく)をしてあげようと思いつく。赤ヒーロー(ウルトラ兄弟の中で、ウェットが赤色中心の“タロウ”“レオ”などをそう呼びます)のウルトラマンタロウが出動、子どもたち大喜び!地獄の日々も、そのキラキラした笑顔を見るためなんよ~!! タロウ、握手しながら列を進んで行きます。しばらくするとマスクからよだれ(汗です、マスク部分に呼吸のため開口してある口から、顎から口元に溜まった汗が溢れてこぼれ出すんです)、小指からはポタポタと手袋の染料と汗が混じったピンク色の汁が地面にしたたり落ちる。操演(介添)スタッフはバスタオルでよだれを拭い、手を拭いてあげながら一緒に進む。 ヒーローなんで、ウルトラマンなんで、動きはキビキビせなアカンでしょ。握手してもらおうと手を伸ばした小さい子にシャキっと手を出した時、後ろに立ってた美人のお母さんの真っ白なブラウスの胸の処にピンクの汁がピピピっ!! 「キャーーーーーーっ!」お母さん、子どもの前でヒーローには怒れんわいな、横のスタッフをキッと睨みつける。スタッフ、シレッと「宇宙のヒーローがやったことなんで・・・」だと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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