薔薇シリーズ
▼薔薇と名前What's in a name? That which we call a roseBy any other name would smell as sweet;シェークスピアの『ロミオとジュリエット』からの一節です。ジュリエットが恋に落ちた相手が仇敵モンタギュー家のロミオだと知って、バルコニーで心情を吐露する有名な場面ですね。私は学生時代、フランス文学だけでなく英文学も専攻していたので、覚えさせられた一節でもあります。By any other nameで仮定法になっていますね。つまりif it is called by any other nameと同じことです。as sweetの後を補うとすると、as a rose.となるでしょうか。訳は次のようになります。「名前が何だって言うの? 私たちがバラと呼んでいるものだって、ほかのどんな名前で呼んでも、同じように甘美な香りがするでしょ」ジュリエットの独白(と言っても、バルコニーの下ではロミオが盗み聞きしていますが)は続きます。So Romeo would, were he not Romeo call'd,Retain that dear perfection which he owesWithout that title:--Romeo, doff thy name;And for that name, which is no part of thee,Take all myself.call’dはcalledの省略形。were he not Romeo call'dは仮定法ですね。If he were not called Romeoと同じです。文法的にはwere he not called Romeoなのでしょうが、詩などではリズムを重視して単語の順番を入れ替えることがよくあります。「ロミオだって同じよ。ロミオと呼ばれなくても、名前がなくたって彼の完璧さに変わりはないわ。・・・ロミオ、名前を捨てて。あなたの本質とはまったく関係のない名前を捨てる代わりに、私のすべてを受け取って」こんなことを言われたら、すべてを受け取ってしまいそうですね。(続く)