誰がケネディを殺したか36
▼実行犯 CIAの強硬派がケネディ暗殺を計画したとして、では実際にケネディを殺した実行部隊は誰だったのか。その謎を解く鍵を握っているのが、CIAのためにカストロ暗殺計画に携わった女スパイ、マリタ・ロレンツと、CIAによるカストロ政権転覆計画に参画した工作員、ロバート・マローの二人だ。 ロレンツによると、ケネディ暗殺計画を実行に移したのは、CIA情報部員ハワード・ハント、反カストロの亡命キューバ人で、ウォーターゲート事件で逮捕されたフランク・スタージス、マフィアの一員で後にオズワルドを射殺したジャック・ルビーらが所属する「オペレーション40」という暗殺集団と、おとり役で実際は犯人に仕立て上げられたリー・ハーヴィー・オズワルドだった。 オズワルドはどうやら、自分はあくまでもおとりで、当初は犯人とされるが、アリバイがあるので無罪放免になると信じていたようだ。ところが、警察官の中にオズワルドを殺そうとしたCIAの刺客(逆にオズワルドが射殺した)がいたことから裏切られたことを知り、真相を話そうとしたため、ジャック・ルビーに口を封じられた。 一方マローは、反カストロの亡命キューバ人であるマリオ・ガルシア・コーリーとCIAの国内作戦部門の極秘作戦を担当するトレイシー・バーンズが暗殺にかかわったという。マローはケネディ暗殺を示唆する言葉をコーリーとバーンズそれぞれから直接聞いている。そのバーンズ直属の部下がハワード・ハントであった。バーンズの上にいたのが、後にCIA長官にまで出世するリチャード・ヘルムズだ。ヘルムズはバーンズを重用していたことを考えると、ヘルムズ辺りまで、あるいはもっと上層部にまで犯行グループが及んでいた可能性がある。つまり、ニクソンと亡命キューバ人コーリーの仲を取り持って、密約を交わさせた張本人であるチャールズ・キャベルとリチャード・ビッセルといったCIAの元首脳たちだ。キャベルとビッセルはピッグス湾事件の責任を取らされて、ケネディに解任された“粛清組”であった。(続く)