『しゃぼん玉』 乃南アサ
乃南さんの本は久しぶりに読んだ気がします。今回読み終わったのは『しゃぼん玉』っていう本内容が深かったので、何度か読み直してみた1冊です。お話の方は女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すように。卑劣な翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。本当に何にも考えてないんですよね、この主人公。生き方が行き当たりばったりで、腹立たしくなるくらい。それが偶然道で拾った老婆や、町の人達との交流の中で、やっと人として生き始める。自分の頭で考えて、それを実行に移す。人と話す、笑う、誉められる、怒られる。そんな当たり前のことをしてもらってなかっただけで、人間ってこんなに荒んじゃうんだ、、、ってなんとも言えない気持ちになりましたお話の詳しいことには、あえて触れません。ただ読後感が良い作品でした。乃南さんの著作にしては珍しいくらい