『夏と花火と私の死体』/ 著 乙一
乙一さんの本を読むのは、これが3冊目。ただ、面白いけど何となくはまりきれない自分がいました。でも、ものすごくコアなファンが多い作家さんなので、それを見極めるべくデビュー作を手にとってみました。『夏と花火と私の死体』です。確かにこのデビュー作はすごい!書いた時点で作者は16歳、賞を取ったのが17歳。これは只者ではない!と思わせるのに充分な作品。確かに荒削りな部分も目立つし、無理のある箇所も見受けられましたが、この感性と独特の雰囲気はすごいとしか言いようが無い。子供の持つ、残酷さと無邪気さをバランス良く描き怖さと、どきどき感をうまく高めています。まさに作者の原点という感じでした。年齢的に近い読者には、この感性と才能はかなりの魅力にうつるかも。あとがきを小野不由美さんが書かれているあたりも、作者に対する期待感が読み取れますよね。これからの作品に期待したいです。夏と花火と私(わたし)の死体419円