我が良き虫の世かな ~ 超虫集合
高いビルは飛べないけれど、1mmたりとも飛べないけれど、75,000気圧の高気圧に耐え、0気圧の真空にも耐え、摂氏150度にも絶対零度(摂氏マイナス273度)にも耐え、人の致死量の12万倍の放射能や電子レンジのマイクロ波照射に耐え、120年の乾燥後に水でよみがえる僅か数ミリのこの体。ある時は落ち葉の間に、ある時は水草に身を任すかと思えば、超深海底にも高山にも住むし、温泉の中でもああいい気持ち。而してその実体は?そう人は私をクマムシと呼ぶ。前後半分に切られれば、頭側から尻尾が、尻尾側から頭が。前後左右4分の1に切られれば、右頭側から左頭、尻尾が、左頭側から右頭、尻尾が、右尻尾側から左尻尾と頭が、左尻尾側から右尻尾と頭が。更に16等分に切られれば、・・・・・ややこしいので止めておく。私の100等分は100人の私となる。3センチに満たないこの体、人は私を切り刻み、加虐の快感に酔いしれる。そんな私を人は、プラナリアと呼ぶ。体長5ミリ前後、脚力には自信あり。並外れて発達したこの太腿を見て欲しい。機能的でありある面機械的でもあるこの美しい太腿。競輪やスピードスケートのトップアスリートでも、文字通り足元にも及ぶまい。もし私が人間並の大きさなら、最高到達点はなんと80~100m。そうだなぁ通天閣に匹敵する高さと言えばいいか?そう、お分かりだね。我輩の名はノミである。