今更、「ゴーン・ガール」を観て。
JUGEMテーマ:映画 ちとネタバレな感想なので、これから観るぞ!って方は微妙にスルーの方向が良いかもです。冒頭はちと冗長な展開、正直、掴みは弱い。 なかなか本筋に入らないもどかしさ。奥さんが、失踪したのは前半で語られるのですが、それだけ、あと、多少ぎくしゃくしていた、家庭の事情とかが描かれる程度、うーん、となってしまっていました。しかし、地域挙げての捜索ボランティア活動をしていくうちに、旦那、彼へのバッシングが発生、これは彼が、家宅捜索で彼女を殺害していたのでは無いかとの疑惑が発生したことが原因のひとつ、そして、奥さん、彼女が著名なライターだったと言う事もあり、それが話題性もあり、更に火に油を注ぐ結果に。結果、スキャンダラスな全国ニュースへと発展、そう言う演出の連続に、彼が犯人では?と観客は流れ的に普通にそう思う。彼には、双子の妹が居るのですが、彼女の協力も得ながらの身の潔白を晴らそうと努力している最中に、彼が、教え子と不倫していたという現場を妹が目撃、身内からも疑心暗鬼の目で見られ、もう、八方塞がりな状態。彼が犯人決定。後は動機を知るだけか?みたいな、あと死体は何処にやったの?くらい。一方で、別展開、実は生存していた彼女の緻密に練られた完全犯罪の全貌が徐々に明らかになる。一見して、それは、順調、見事なまでの、徹底した一分の隙も無い用意周到さ、更に、身体を張った行動に、彼女はもう逃げ切れるのでは?と観客は思う。それ故、更にミズーリ州には、死刑の法律もあり、もう、彼の人生は詰んだ!彼女の完全犯罪は成功!と観客の誰もが思う。それだけの展開だったら、こんな、この映画が高評価にならない訳で…完璧と思われた、彼女の計画に僅かな、突発的な、予想だにしなかった、事態発生。最初の、一件目の障害は大きな手傷を負いつつも、何とか回避、しかし、それがトリガーとなり、二件目で、今度は逆に彼女を八方塞がりな状況に追いやる。そこで、彼女の完全犯罪も崩壊(と思わせる)、彼女も人生詰んだ!と観客は思う。一方、彼は、地道に身の潔白を晴らすべく、行動し、最後の頼みの綱、ワイドショー番組にも出演していた、ニューヨークの辣腕弁護士に最後の望みを賭け、相談に向かい、その弁護士と話し合った結果、ひょっとしたら、ひょっとしたら、逆転ホームランも考えられる立場に。 観客は、まさか、その弁護士が、彼の話を信じて弁護するという発言をよもや信じないのではと思っていたので、それは意外。しかし、それから、彼の反逆が始まりに、いよいよ物語が大きく動き出す。弁護士の力もあり、徐々に、彼へプラスの方向に物語は動き始める。 勿論、一難去ってまた一難、それこそ、常に、危険と隣り合わせ、逮捕(死体が発見されていない、決定的な証拠を掴んでいない為)されそうになりながらも、逃げおおせていたのが、遂にというか、とうとう逮捕。今までの、身の潔白を晴らす活動も泡沫に消えてしまうのでは? 誰しも、観客と思う。しかし、次の日に何故か釈放、おや?更に先の読めない展開ですか!と既に、観客は未だにラストを掴めない状態。そして、彼の捜査を担当していた、女性が、んんん?どうもおかしくないか?と、この事件の僅かな綻びに、疑念を抱き始める。ラストのラスト、エピローグ的なシーンで、捜査担当者の女性は、この事件の真実を遂に掴み、身の潔白が晴れた、彼と真実を明らかにすべきだが…しかし… 相談と言うか、話し合いをするのですが、「こりゃ無理だ」と彼女の凄まじい迄の、したたかさにさじを投げる。彼女の方は、二つ目の予期せぬ失敗を、またまた、こちらも大逆転の危険な賭に飛び入る、そしてそれは、見事に成功。こちらも逆転ホームラン。全身に浴び血だらけになりながらも。勿論。彼女の血では無いですが。結果、痛み分け、「究極の」仮面夫婦を演じることに、彼は、良心の呵責に苦しめられる、しかし、辣腕弁護士も、「もう、あんたが我慢すれば、それで一件落着じゃん」と、こちらも放棄。ある意味、「一組の仮面夫婦の喧嘩を映画にしました。」と短くこの映画を伝えるとすれば、そう言う事になると思います。しかし、もう、其処までの、練りに練られた、ストーリーテリングの見事さに、舌を巻く。そんな映画に圧倒され、流石、アメリカで高評価だったと言う事を実感出来るのでした。ラストは、最高の褒め言葉的に、とても、とても後味の悪いラストです。難を挙げるとすれば、前述の「冗長な導入部」くらいでしょうか? 正直言って、苛つきます。早く本筋に入れよ!と。それ以外は、最高に楽しめる、極上のサスペンスフルなエンターテインメントに仕上がっていますので、これから、観たいって方には、掛け値無しに、お勧め出来る映画です。