不動産屋さんと論戦す
また投資のテーマになってしまいました。昨日までの物件が佳境に入っているので、これが片付かないと落ち着いて日本へも行けません。そいうことで、投資、特に不動産投資に興味がない方はゴメンなさい。実は昨日、今回の投資物件を扱っている不動産屋さんと電話で話をしました。電話の内容は、もともとこの投資物件に関する話ではなかったのですが、話の成り行き上、今回私がしている投資分析評価と、それを投資の判断の一部にすることに関する話になってしまいました。話の論点は簡単に言うと、ローンの借り方いかんによってはレバレッジが負になりますよ、という話に対して、そのローンの元金返済分を考えないのはおかしい、という指摘です。そこで、いやこれはキャッシュフローを評価するための指標ですので、それでいいんです、元金返済分は自分の手にキャッシュが入ってくるわけではないですから、といくら説明しても納得してもらえない。しからば、ということで、なぜキャッシュフロー的にみたらローンの利用が、その条件によってはリバレッジがマイナスになるのか、というよりもこの不動産屋さんの疑問である、それは単にローン利率と自己資本利益率の大小の比較で済むのではないか、という問いに対して自分なりにきちんと考えをまとめたいと思ったわけです。つまり、キャッシュフロー的に見たら、いくらローンの金利が自己資本に対する利益率を下回っていても、場合によってはローンを借りれば借りるほどキャッシュフローが悪化する、ということを自分なりにはっきりさせたかったわけです。ちょっと考えれば、、元金返済を収入に含めなければそういったケースもありうるとはわかります。また、元金返済分は確かに自分の資産のEquity増加につながるので、これをどう評価するのか、と言う点について自分なりにもう一度考えて見たかったわけです。その結果、やはりどちらが正しいと言うものではなく、両方の見方がありうる、ということになるわけですが、やはりきちんと説明するための理論武装をしようといろいろやっていました。そうしたら、私のよくいくサイトの一つに原田ミカオさんのブログがあり、そこにすでにこの評価の論拠がきちんと書かれているではないですか。自分なりに考えていたことがより明確に裏付けられたわけで、早速これを自分なりに解釈して不動産屋さんにメールを打ちました。(原田ミカオさん、ありがとうございました。勉強になりました)以下はそのメールの内容です。---------------------------------------------------------------------昨日はお電話をいただき、ありがとうございました。ご提案の件は、もし私にできることがありましたら、積極的に協力させていただきます。さて、その時にでた「ローン」によるリバレッジ効果の話に関して、若干私の考えをまとめましたので、もしお時間がありましたらご覧いただいて、アドバイス等いただけたらと思っております。おそらく、こんな内容はとっくにご存知で、それでも資産形成面から言えば、その考え方で投資の是非を決めるのはおかしい、とのご指摘だとは思いますが、私の考え方も一応ご理解いただきたい、とも思っております。まず初めに、おっしゃられたように、元金返済分は当然、自己資産のEquityに加算されていきますので、その意味では、単純にローン金利が自己資本利益率を下回っていれば、通常いうところのリバレッジはプラスになります。これはその通りで、したがって、それも一つの判断指標であることは確かです。でも電話でも申し上げたとおり、説明した指標はキャッシュフローに関する指標です。なぜ、これにこだわるかと言えば、私の投資目的が資産形成と同時に、このキャッシュフローを最大化する、という点も一つの目標でもあるからです。そのキャッシュフローに対してローンを借りれば借りるほど悪化する場合がある、しかもそれが、ローン金利が例え自己資本利益率を下回っていても有り得る、ということを説明いたします。(元金返済も費用と考えるわけですから当然、といってしまえばそれまでですが)まず定義ですが、K%: ADS(元利返済額)/初期ローンバランス(ローン金額) 分母が利子返済のみの場合はローン利率に等しくなるNOI: ネット収入=総家賃収入ー総運営経費(Tax, 保険、アソシエーションフィー、メンテナンス) これは借り入れが無い場合のNet収入になるFCR: NOI/TPC(購入時総コスト) 全部自己資金だった場合の(負債の返済が無い場合の)収益率ですMOS: NOI-ADS ネット収入から、ローンを組んだ場合はその元利返済額を引いた年間現金収入を意味しますCCR: MOS/自己資金総額 MOSはローン返済後の手取り収入ですからこれはキャッシュフローとしての資本利益率ですこれらから年間現金収入MOSと対総投資額利益率FCRの関係式を導き出すと MOS=NOI-ADS=FCR * TPC(購入時総コスト) - K% * (ローン金額) =FCR *(自己資金+ローン金額)- K% * (ローン金額) =FCR * 自己資金+(FCR-K%) * (ローン金額)になります。したがって年間現金収入MOS(キャッシュフロー)を最大化するためには2項目の(FCR-K%)がプラスである必要があります。このことから、「キャッシュフロー」に正のリバレッジを効かせるためには FCR(対総投資額利益率) > K%である必要があることがわかります。ここで、反対に、もし FCR < K% の場合を考えてみると(FCR-K%)は当然負になってしまいます。FCRはローンの金利に依存しませんし、K%は当然、ローン金利を一定とするとローンの金額には依存しません。ですからこの場合はローン金利を一定と考えると、ローンを借りれば借りるほど、つまり上式の(ローン金額)が増えれば増えるほど上の式の第2項はマイナス方向に増加します。ローン金額を増やす、ということは自己資金を減らす、ということですから、上の式の第1項も減少するわけですからMOSすなわち年間現金収入は減少します。当然全て自己資金の時がCFは最大ですが、ローンを借りることを前提に考えると、FCR > K%でないとレバレッジが効かず、キャッシュフローを増やすためには自己資金を増やして、第2項の部分をできるだけ小さくするしかないことになります。同じようことがCCRすなわち投下自己資金総額に対する利益率についても言えます。ここでは詳細は省きますが、MOSが元金返済分を含めない限り、つまり手取りの現金収入を見る限り、もしK% > FCRだと、CCR > FCR となってしまい、自己資金利益率が、負債を考えない場合の物件そのものの利益率よりも小さくなってしまい、しかもその差はローン金額が増えれば増えるほど大きくなってしまいます。その意味でも、リバレッジがマイナスとも言えます。したがって、私の評価指標では、常に K% < FCR < CCR となるような物件価格でかつそのようなローン条件を組めるかという見かたをしているわけです。そうすれば、ローンは借りられるだけ借りたほうが、普通のリバレッジも、CFに対するリバレッジも効いてくる、というわけです。今回の物件は残念ながらK%>FCRです。したがってキャッシュフロー面からのリバレッジはマイナスです。あとは元金返済をリターンに組み入れたときにどうなるか、という見かたをするしかありません。キャッシュフローの面は自己資金の追加投入しかありませんが。ながながと書きましてすみませんでした。まだ勉強中でありますので、今後のため、ということで、もし上記のような見方に対して、なにかご意見なりアドバイスなどありましたら、聞かせていただけたら幸いです。------------------------------------------------------ここまでです。もし、これを読まれ方で、その見かたはおかしい、と考えられた方がいましたら、是非書き込みをお願いします。本当を言うと、もうひとつ自分でも納得していないところがあるんです・・・それを書き出すとまた長くなりますので、今日のところはこれで終わりにしますが、いつか、その部分がはっきりしたらまたこの日記に載せたいと思います。