Amazonの野望と楽天のこれから
楽天の取り扱い流通量が1兆円を突破した、という。 確かにすごい。ただ、ここではAmazonとの比較において、Amazonのとてつもなく大きな「野望」と比較して話をしてみたい。 話が若干長くなるが、まずは、アップルのiPadの話をしなくてはならない。(なんでこれがAmazonの野望と関係があるのかは、後でわかります) 今、タブレット端末の中ではやっぱりアップルのiPadが圧倒的に売れています。たぶん、全世界で、65%から70%はこのiPadでしょう。 その他、日本のP社、S社、あるいは韓国のS社や台湾のH社などなど数え切れないPCメーカや電機メーカー、あるいは携帯電話のメーカーが、打倒iPadを目標にいろいろ新機種を出しているが、全然歯が立たない。 しかし、その中で、唯一シェアを伸ばしているのがAmazonのキンドルだろう。Amazonのキンドルと言えば、日本では電子書籍用の端末という印象があるかもしれないが、それは過去の話。 今、iPadも売っているAmazonの全取り扱い製品の中で、最も売れているのがこのキンドルである。 はっきり言って、アップルのiPadと、このAmazonのキンドルに対抗できるタブレット端末は、恐らく出てこないんじゃないか、と思える。 そう思う最大の理由は、この二社と他のメーカーとの決定的な違いにある。極論すると、この二社は、iPadなりキンドルを無料で配っても、恐らくビジネスとして成り立つビジネスモデルを作り上げている。 他者がいくら高機能端末を安く供給しても、「ただ」にはかなわないし、機能も高機能、と来ているから太刀打ちもできない。 アップルは、このiPadだけではなく、iPhone, iPodなどの端末を通して、アプリケーションのビジネスを拡大し続けている。 一つ一つの機械を買うのは一度きりだが、これらのアプリケーションのダウンロードは、その後ずっと続き、アップルの収入で有り続ける。 つまり、アップルにとって、この端末たちは、アプリケーションを売る「売り場」でもあり「購入の動機付けをする手段」なのだ。 一方、Amazonのキンドルはどうか? これは、このアップルの「アプリケーション」の販売を、一気に全商品に広げている、いわば「携帯型の総合デパート」だ、と言ってもいい。 この二社の違いは、たとえばアップルストアではAmazonのキンドルは買えないけれども、Amazonでは、アップルのiPadが買える、ということに端的に表れている。 この最新のキンドル端末、すごい端末である。 とにかく、なんでもこれさえ有れば買える。 PCで一々ネットショップを回って検索したりする必要もない。 価格もほぼ市場最低価格に抑えられていて、買ってあとで損をした、という後悔をする可能性も少ない。Amazonなどのネットショップでのひとつの欠点は、実物を見て買いたい、という場合だが、これにしても、そのうち、バーコードリーダが付属して、実際に店で見た商品のバーコードを読み取れば、すぐに同じ商品が注文できるようになるらしい。 もちろん、その店で買うのではなく、Amazonを通して買うわけです。安いし、配達も無料とあっては、一々持って帰る手間も省ける。 つまり、アマゾンの野望というのは、このキンドルという端末を利用して、というか、このキンドルを、誰でも携帯できる「何でも買える携帯型のスーパーマーケット」にしてしまい、この購入方法になれてしまったユーザーは、いつもここから物を買う、という習慣が出来てしまう、という恐ろしいものだ。 実際、うちの息子や娘などは、だいだい買い物に行かずにネットで検索したのち、目当ての商品をAmazonで買う、というのが恒常化している。 これが、つまりはAmazonの狙いなのだ。 それに比べると楽天は、確かに店舗数も増え、商品もそろい、安全性も確保されてきているとは言え、その実態は以前として今までの「ネットショップ」の寄せ集めにすぎない。 アフィリエートでお小遣い稼ぎをしている方も結構多いと思うが、それは結局は商品のコストになって帰ってくる。 どこかで、必ず・・・ 対して、Amazonは、あくまで直接取引だ。 ここにも究極的なコスト力の差が出てくるだろう。 しかし、こんなことを「夢想」しているんじゅなく、着々と現実のものにしていっているところが、アップルやAmazonなどの企業のすごいところだなあ、とつくづく感じる。