武蔵野高速少女帯 長沢樹(小説すばる10月号)
小説すばる 2012年10月号武蔵野高速少女帯 長沢樹(小説すばる10月号)生物部の活動中、僕らの目の前で女の子が消えた・・・。ちょっとヘンな高校生探偵シリーズ、第二弾!(小説すばるより転載)多摩地区を舞台にした高校生探偵シリーズ、第二弾です。多摩地区に住む人間としてはなんだか嬉しくなる話です。前回は東久留米の落合川でしたが、今回は武蔵村山の残堀川が舞台です。西武拝島線、武蔵砂川駅といっても多摩地区北部に住んでいる人間でなければどこだかさっぱりわからないような、マイナーな地域です。いちおう推理ものの中編ですが、推理ものとしては弱く、どちらかというと高校生の放課後を描いた青春ものです。主人公・設楽は写真部員。鷹羽高校のビジュアルクイーン・川野愛香に頼まれて生物部の写真を撮っています。というのは表向きで実は川野愛香の盗○写真を撮るのが目的。それは友人の岡江和馬から依頼されたもので・・・。岡江和馬というのが天才的頭脳を持つ男で、事件をあっという間に解決します。現代のシャーロック・ホームズですな。しかしこの男、趣味が変わっていて、余り人に言えないような「変態」です。川野愛香と岡江和馬に振り回される主人公・設楽は狂言回し的な役。しかし、設楽と川野愛香の微妙な関係が物語の「胆」です。お約束ですけどね。川野愛香があり得ない人物造形で、こんな奴いないぞ、ですが、それは小説ならではと言うことで。ちょっとわかりにくい構成ですが、読みやすい文章なので読んでいけば話にはついて行けます。時々前に戻って読み返しますが。キャラが立っているので、気楽に読める青春推理小説です。謎解きは見事に決まっています。でも、読み終わると、舞台が多摩地区である必要がないような気が・・・(笑)【送料無料】小説すばる 2012年 10月号 [雑誌]