出奔 村木嵐(小説すばる12月号)
小説すばる 2016年12月号出奔 村木嵐嫡男・信康が腹を切ったのは天正七年(1579)の夏だった。家康の落胆は大きく、譜代の家士たちの心にも深い影を落とした・・・・。(小説すばるより転載)家康の譜代の家臣・石川数正の話。家康の重臣であったにもかかわらず、豊臣秀吉の元に走った男。何故豊臣秀吉の元に走ったのかは謎なんでしょうが、この小説では意外な理由をとっています。徳川家康の家臣からは裏切り者呼ばわりされます。当然ですよね。しかし、この小説を読むとなるほどなあ、と思わせて、案外これが真実かもしれない、と納得させられます。こんな理由でもないと、石川数正の行動は説明が付かないですよねえ。非常に味わい深い小説でした。