海風 第五回 今野敏(小説すばる2023年9月号)
小説すばる 2023年9月号海風 第五回 今野敏オランダ商館長クルチウスとの初会談。永井は異国との交渉、長崎独自の慣習、そして、一癖も二癖もある上役との付き合いの難しさを実感していた。(小説すばるより転載)オランダ商館長クルチウスの話しぶりと、大通詞の話す雰囲気がどうも合わない。違和感を感じる永井だが、大通詞の機嫌を損ねてはいけないようで、改善が出来ない雰囲気。いろいろもどかしいですねえ。イギリス艦隊が来る、という情報を得て、江戸の伊勢守に指示を仰ぐが、長崎で判断しろ、という丸投げの返事が来る。忙しい中、水野筑後守がもう一人長崎奉行がいる、と言いだして永井は驚く。そのもう一人の長崎奉行・荒尾石見守成允は全くもって影の薄い人物だった・・・。荒尾石見守成允という人が非常に興味深い人物に描かれています。仕事が出来そうなのに、影が薄い。威張り散らしてパワハラをするよりいいですけど、それにしてもここまで印象に残らない人物とは?