無音 最終回 河原千恵子(小説すばる5月号)
小説すばる 2017年5月号無音 最終回 河原千恵子高原さくやが初めてアイスホッケーの試合を生で見たのは八歳の冬。その日、さくやはホッケーと恋に落ちた。一歳下の弟・あつきも同じ日に、同じ相手に恋をした。その後アイスホッケーを始めた二人はずっとライバル同士だった。これからもきっとそうだと思っていた。ある夏の朝、あつきが別れも告げずに一人でいってしまうまでは。(小説すばるより転載・後半省略)弟を失って喪失感に苛まれる高原家。高原さくやも、いなくなった弟を求めてうつろな日々を過ごしている。しかし、日常は続くわけで・・・。高原さくやの再生の物語。高校生活より、アイスホッケーを中心に描かれる話でした。あつきを失って、ショックを受けているのは高原家だけでなく、周りのみんなも同じ。過去は過去で、前を向いて進んでいく、という、辛いけど希望に満ちた物語でした。まだ全部書き切っていない感がありますが、再生の一歩を踏み出したさくやを応援したくなります。続編、期待しています。