アメリカでの新婚生活、開始
10月1日。出発の日。成田では、何人かの友人がお見送りをしてくれた。これをやられると、日本を気持ちよく発てなくなってしまうので、辛かったが皆の好意を受け入れた。案の定、すごく寂しかった。別れはいつだって誰とだって、寂しくて辛い。機内ではどーんよりと沈んでいた。日本での長い独身生活。本当に楽しかった。これでもか、これでもか、と言うくらい働いて、遊び倒した。何も遣り残したことはない。15年間くらい、バブルを満喫したような思いがする。でも、これからは、精一杯ブランを幸せにしてあげよう。私は新たな誓いをたてて、少し眠りについた。飛行機は、予定より30分も早くLAXに着いた。おまけに私はNew immigrant の列だったので、全然並ばすに、すーいすい。何の問題もなく、あっという間に到着ロビーに出てしまった。まだ予定到着時間にもなっていない。ブランはまだ来ていない。時間に正確で、いつも到着時間前には迎えに来てくれているブラン。私は、少し心配になった。も、もしかして、ブランの気が変わって結婚が嫌になっていたらどうしよう。実は結婚式は、まぼろしだった?・公衆電話私の飛行機の到着時間になっても、ブランはまだ来ない。私は慌てて公衆電話を探して、ブランの携帯に電話してみた。ところが、一度もつながらないうちに、私が持っていた4枚のクォーターコインは、その電話機に全て飲み込まれてしまった。つながらないなら、せめてお金を返して!!!13年前、NYに住んでいた時にもよくあったことだが、アメリカの公衆電話は全然改善されていない。非常に腹立たしい!!仕方なく、お金を両替しようとキョロキョロ辺りを見渡すと、コーリングカードを売っているのを見つけた。「Miss, それは$20もするのに、4分間しか話せないよ。止めておいたほうがいいよ。」カードを買っているのを見た、親切な?おまわりさんが私に教えてくれた。「いやよ、私は夫とどうしても話がしたいの!」無視してカードを買うと、おせっかいなおまわりさんが、そのカードを取り上げて電話をかけてくれた。ようやくブランにつながる。と、振り向くと、携帯を持って息を切らしたブランが後ろに立っていた。もう、心配させないで!私はブランに飛びついた。おまわりさんは、ニコニコ笑った。かくして、無事に家に到着。車から降りて頭をあげると、抜けるような青空が広がっていた。・携帯電話アメリカの公衆電話がいかにヒドイか、散々文句を言う私を連れて、ブランは早速携帯電話を買いに行った。ブランの加入している電話のファミリープランに入れてもらう。その際、決まった電話機から選ばなければならず、全然チョイスがない。その電話機達の可愛いくないことといったら。白もピンクも赤もパープルもない。日本でなら、私が買うことはあり得ない、シルバーとブルーの電話機。それがまだ一番ましなデザインだった。そんな男の子みたいな電話機では、私の気分も暗く沈む。がっかりした私を、ブランは家具を見に連れて行ってくれた。・家具屋さん私の新しい家具を買うために、家具屋さんを4軒ほど周った。アメリカの家具のゴージャスなこと。立派なこと。見とれて迷ってしまう。中国人が経営する家具屋では、店員が、「Wow! 若くて綺麗な奥さんですね。ご主人、ラッキーですね。」と、ブランにお世辞を言ってくれた。お願い、もっと言って、言って。ブランを気持ちよくさせてあげて。私は、ブランと出かける時は、もっとお洒落をして出かけようと決心した。・ドライブ私が車を運転するのは、ナンと10年ぶりくらい。免許は18歳の時に、ほとんどダブりなく取得したが、ペーパー期間が長すぎて運転には自信がなかった。練習してみたら、と言われて週末は半分以上は私が運転した。ただ走るだけなら、ゴーカートと一緒だから私にもできる。でも、どこを曲がっていいのか、どのレーンにいればいいのか、全然分からないよー。久しぶりの運転なのに、ターンする度に、癖で左車線に入ってしまうし。危ない!高速では、ふとメーターを見ると150kmくらいで走っているではないか。ひぃー!そんなにスピード出したの初めてだよ。アメリカ人は随分飛ばすんだなあ。ブランが横にいて、右、左、と指示してくれないと一人では買い物もできないかも。明日は地図を買って、一人で運転してみるぞ。とにかく日曜日は、時差ぼけと、度重なる送別会にちょっと体調を崩してしまって、私はお昼過ぎまで寝まくってしまった。と言うわけで、まだ、一度も炊事、洗濯、掃除をしていない。ブランは何も言わずに、自分で作った食事を並べて後片付けもしていたが、このままではまずい。私は無職なのだから。おまけに、私が持ってきたアラームが、変な時間にセットされていたらしく、さっき、12時半ごろ、ブランが寝入ってすぐに鳴り出した。消しても消しても、5分おきに鳴り響くアラーム。疲れているブランを5分おきに5回も起してしまった。ブランは仕事が早く、毎朝6時前に起きるので、いつも11時過ぎには寝るのだそうだ。なのに、夜中の12時半から1時にかけて、5回も起すなんて、最低、私。今は、私はブランの部屋でそうっとPCを打っている。ブランは本当に優しい。いつも穏やかで、私には絶対に怒らない。ごめんね。ブラン。朝は一緒に起きなくていいと言ってくれたけど、明日は何とか頑張って、朝ごはん作るよ。5時起きだわ、私。そして、ブランが帰ってくる前に髪をブローして、綺麗にお化粧して、ブランの好物を作ろう。食事の後はマッサージをしてあげよう。わ、すっかり長くなってしまった!!おやすみなさい。