●ルネ・ド・セカティ「文学カフェ」@日仏学院、11/10
「文学カフェ」と称する講演会があった。ルネ・ド・セカティは作家、批評家、編集者で最近は戯曲の脚色なども行っている。日本文学、イタリア文学の翻訳も多い。 実は25年前、日仏学院で教えていて、僕はその「哲学」の講義に出ていた。昼の講義でいつも数名だったが、当時最先端だったフーコー、ドゥルーズ、バルトなどをしっかりと解説しつつ、あまり知られていない作家たちを取り上げて論じた。それはトニー・デュベール、ドミニク・フェルナンデス、ヴィオレット・ルデュックなどだった。優美な青年と明確なフランス語に魅せられていた。たぶん徴兵の代わりに日本で教えていたのだろうが、フーコーの弟子でもあり、切れるが優しく語るという人だった。 それがこのたび日仏で講演をするというので押しかけた。以前に朝日新聞で日本文学の翻訳などで活躍しているという記事が一度出たことがあるが、それ以降消息を知らなかった。すると小説、翻訳、批評など以外にも演劇の脚色もしているという。書評などをフランスの有名誌に書き、デリダ死去のときにはエレーヌ・シクウスへのインタビューがル・モンドに載ったらしい。 語り口は前と変わらず、さすがに歳はとったが自分の文学と文学観について、時に優しく時に激しく語った。そのあとの歓迎の食事会に混ざりこんで話をした。詳しい話はできなかったが、日本ではなかなか紹介されない彼の活躍に注目したい。主な著作小説「愛すること」など。