一杯の汁物
雪の山で道に迷い日も暮れてしまった。もう歩けない。体が冷えて、食べるものもなく、私も、もうこれまでかと観念し雪の上に倒れこむ。少し眠っただろうか。誰かが呼ぶような声がして目が覚めた。向こうにぼんやりと家のあかりが見えるような気がする。あかりだ、誰かがいる・・・助かったというより、ああ私は確かに死んでしまったんだと思う。これで楽になれると思う。私は最後の力を振り絞って立ち上がり、雪をかき分けながら、そのあかりに向かって歩き出す。その粗末な家にはオジイが一人で暮らしているわけなんです・・・。(この場合、妙齢の女性なんかいたらダメです・・・話が違うほうにいってしまうから)無口なそのオジイが囲炉裏端で、(・・・べらべらとよく喋るオジイでもダメです。あくまでも無口なオジイ)茶碗に入ったあたたかいお酒と、一杯の汁物をふるまってくれるわけなんですよ。外は轟々とした雪嵐だ。朝晩はだいぶ冷えるようになりました。そんなことを考えて、いただく一杯の味噌汁はうまい。でもそのスチュエ-ションで出てくる汁物には、きっとウインナ-は入ってないだろうなぁ・・・。