大人のオモチャ
ヤるかぁ! それはワタシが学生時代、一人暮らしをしていたときのこと。ある日突然、母から宅急便が届いた。「えー、何やろ?」。心当たりのなかったワタシは、不審に思いつつも箱を開けてみると、出てきたのはまっさらな舶来圧力鍋。「健康に留意して、あんたも料理、ちゃんとしなさい」。「『そういう母からの愛のメッセージ?』…だと思ったらそれは大間違い」。当時まだ母のことが把握し切れていなかった、甘ちゃんだったワタシに言ってあげたい。 その証拠に、ほら。鍋はまっさらだけど、箱には開封した跡があるっしょ? それはね、普段堅実に生きてはいるけど、時々何かの拍子にスイッチが入ってしまい、不必要な高額商品を購入しては持て余す、ある意味母の趣味の賜。その鍋は婦人会の頒布会で買ったはよかったモノの、実物を前に持て余し、「そうだ、なかったことにしてしまおう」とムスメの所に送りつけてきたシロモノなのよ。 ただしそのムスメも、質はよくなかった。「料理なんざ、できしません」と努力する前に自炊を放棄し、なんの迷いもなく四年間一度も開封することなく、そのまままた家にもって帰っり、以来幾星霜、押入にしまい込んだままだったのであった…。 という、我が家にまつわる浪費癖自己責任放棄DNAの壮大な大河ドラマを思い出したのは、図書館に本を返却に行き、「次はどれを借りようかな」と書架物色中に「圧力鍋のおかず300」という本を発見したから。『圧力鍋…。いつかどこかで聞いたことのある響き…』ってね。 さっそく借りてきて、ぱらぱらっとめくってみました。ふーん。そういう仕組みの鍋なんだー。なるほどねー。無水鍋とは、親戚筋ってカンジですか。「確かここら辺に…」と押入にも潜入し、古生代の地層から圧力鍋も見事発掘成功。何やらゴムパッキンがいまいち怪しい気もするが、おっしゃ。材料もあるし、明日は一発この「かぼちゃの鶏そぼろ煮」なるものを作ってみますか。上手くできたら、そうだ、他にもレパートリー増やしたいし、本も買っちゃう? 本末転倒は、ワタクシ人生キーワード。買い物フリークの血が騒ぐ。そう。ワタシは何より買い物が好きな女なのだ。夏にはひょんなコトから無水鍋を手に入れ、レシピ本も数冊買ってみた。その時「ル・クルーゼの鍋もよさげだ。一丁敵情視察に」と、ル・クルーゼのレシピ本も何冊か買っちゃったさー>鍋はかなりいいお値段なので、さすがに思いとどまってますが。 しかしことほど左様に、いくら月日はかかろうとも、結構人生無駄はなかったワタクシ。今年はたっちょんと鍋に燃えた(萌えた?)。うーむ。料理上手な(おいおい--;)たっちょんのお嫁さん、という卦が出た、というオチではいかがでしょう?