王になった男
韓国ドラマ「王になった男」。2019年放送。2012年、イ・ビョンホン主演の映画「王になった男」のドラマ化。道化師のハソン(ヨ・ジング)は、芸を披露しながら国中を旅していました。漢陽(ハニャン)を訪れた一行は、王のイ・ホン(ヨ・ジング二役)を揶揄する芸をしていました。その場に居合わせた王の側近イ・ギュ(キム・サンギョン)は、芸をやめさせるのですが、仮面を取ったハソンを見て驚きます。ナント、王に瓜二つだったのです。そして、イ・ギュは王の影武者にするために、ハソンを宮中に連れ帰ります。この頃、王は精神を病んでいたのです。陰謀が渦巻く宮中に耐え切れず、逃げ出そうとするのですが、民が踏みにじられている現実を知り、本当の王になり、世界を変えようとして行くのです。映画「王になった男」も面白かったですが、ドラマになったことで、映画よりもさらに、いろいろな要素が加わりました。上下の言葉遣いがはっきりしている宮中。ハソンの正体を知っている人たちは、もちろん、最初は命令口調でしたが、ハソンの資質のすばらしさに触れていくうちに、王に接するのと同じ敬語に変わってゆくのです。人の品格は、身分だけではなく、生まれ持った資質というものがあるのですね。正義感あふれる道化師ハソンと、狂気の王イ・ホンの二役を演じたのは、ヨ・ジング。子役出身で本当にたくさんの映画やドラマに出てきた俳優ですね。子役の時もすごいなあと思っていましたが、今回も二役を演じ分け、短期間で王としての立場を学び、「王」になってゆく姿が見事でした。このドラマは、ヨ・ジングで成り立つドラマだったと思います。 映画では描かれなかった王妃とのロマンスも描かれました。王妃を演じたのはイ・セヨン。ドラマ「チャングムの誓い」でチャングムのライバルでもあるクミョンの少女時代を演じた女優さんですね。子役の時の賢そうな綺麗な女の子という感じでしたが、美しい女優さんになりましたね。王の側近、都承旨(トスンジ)を演じたのはキム・サンギョン。映画ではリュ・スンニョンが演じて重要な役どころでしたが、ドラマでは、さらに魅力ある人物でした。ハソンを支えるチョ内官は、チャン・グァン。映画でも、同じ役を演じていました。最初からハソンの資質を見抜き、ハソンを心から「王様」と呼び、心優しい内官でした。チャン・グァンもたくさんのドラマや映画にでている俳優ですが、私は、映画「トガニ~幼き瞳の告発」の印象が強くて…。今回の役はとてもよかったです。王の護衛武士のチャン・ムヨン。どこまでも王に忠実な武官で、狂気の王の理不尽な命令に従います。ハソンの正体を知った時には反発するのですが、結局ハソンに惹かれ、ハソンを最後まで守り抜きます。ユン・ジョンソクが演じました。この俳優さんは、映画「ドアロック」の管理人の役くらいしか知らなかったのですが、今回の武将役はかっこよかったです。そして、イ・ホンの父、先王役で出ていたのが、ナント、チャン・ヒョク。…初めは気が付きませんでした。時代劇の中でも、名作だったと思います。