追っかけ日記 No.453~第69回 野村狂言座~
木曜日に、宝生能楽堂に「第69回 野村狂言座」を観に参りました。 昨日の番組は、素囃子「神舞」、狂言「夷毘沙門」・「千鳥」・「若菜」。 解説は、野村萬斎さんでした。 素囃子「神舞」。大鼓・原岡一之、小鼓・森澤勇司、太鼓・小寺真佐人、笛・藤田貴寛。 「神舞」は、「高砂」、「養老」などの脇能で、若い男体の神が舞う舞い。力強く、テンポの良い演奏でした。 狂言「夷毘沙門(えびすびしゃもん)」。金持ちの男(竹山悠樹)が、一人娘に良い婿をとりたいと、鞍馬の毘沙門と西宮の夷に祈願し、お告げに従って高札を打つと、自ら婿になろうと、毘沙門(高野和憲)と夷(深田博冶)とがやってきちゃいます。 男が、富貴で位が高い方を婿にしようというので、二人はそれぞれ自分の由緒正しさを語り、相手を罵り合います。 神さま自身が婿になろうなんて、面白い発想です。 どちらも、強面の面をつけていたので、ルックスいまいちでしたが。 狂言「千鳥(ちどり)」。主人(月崎晴夫)の言いつけで酒を買いに行った太郎冠者(石田幸雄)でしたが、ツケがたまりすぎて売ってもらえません。 そこで、主人は、米持になったので来年の酒代まで払えそうだし、お祝いの神事もやるので遊びに来いとか、酒屋(野村萬斎)をまるめこもうとします。。 萬斎さんの解説にもありましたが、この時代、貨幣よりも、米が大事だったそうです。 酒代としての米が届くはずだと嘘をついてとりあえず、樽に酒を詰め込ませることには成功します。 が、なかなか酒を持ち出せない。 そこで、尾張の津島祭の話や、流鏑馬の様子をゼスチャー入りで話しながら、機会をうかがいます。 太郎冠者役は、いつもは萬斎さん。酒屋役を拝見はするのは珍しく新鮮でした。 萬斎さんの太郎冠者は、酒を持ち出すのに、かなりの必死さがあるのですが、石田さんの太郎冠者は、一枚上手のような。 狂言「若菜(わかな)」。あるのどかな春の一日。裕福な男(高野和憲)が、同朋の海阿弥(野村万作)を連れ、野遊びのため八瀬・大原に出かけます。 梅の花を愛でたり、鶯を刺竿で刺そうとしたりしているところへ、大原女たち(内藤連、中村修一、野村萬斎、飯田豪、岡聡史)が若菜を摘みながら通りかかります。 二人は、酒の相手をしてもらおうと誘いますが、女たちは恥ずかしがって承知しません。 ナンパみたいですもんねえ。^^ 海阿弥は無理矢理、女たちを主人の前に連れてきて、やっと酒宴が始まります。 舞いや謡も次々に披露され、楽しく盛り上がった後、双方名残を惜しみつつ、別れます。 のどかな春の一日の野辺のできごと。 萬斎さんの女役、久々でした。