追っかけ日記 NO.298-マクベスー
昨日は、世田谷パブリックシアターに「マクベス」を観に参りました。 中世のスコットランドでの物語。仁徳高いダンカン王の信任が厚く、勇猛な武将マクベス(野村萬斎)は、反乱軍を鎮めての帰途、 「泡」の様にどこからともなく現れた魔女たち(小林桂太、福士恵二、高田恵篤)から、 彼はコーダの領主になり、やがては王にもなるとの予言を。また同行の武将バンクォーはその子孫が王になると告げられます。そこで、マクベスをコーダの領主にとの勅命を受け、魔女の予言の一つが、早くも成就されます。この時、王座への野心に燃え始めたマクベスは、ことの次第を早速マクベス夫人(秋山菜津子)に手紙で知らせると、夫人はマクベス以上に激しく野心を。 偶然にも王がマクベスの城に泊まることになり、邪悪な夫人は、ひるむマクベスを駆り立て、冷徹に王の暗殺の手はずを練り上げます。王位簒奪の恐ろしさに震えるマクベスの前に、突然短剣が亡霊の様に現れ、マクベスを王の部屋へと誘います。マクベスは遂に王を殺害するが罪の恐ろしさにおののくばかりですが、夫人はそんな夫を激しく叱咤し短剣を取り上げ、王の部屋に戻って、二人の従者に王の血をなすりつけます。そこえ激しく戸を叩く音がし貴族マクダフが訪れてきます。城中に鐘が響き王の殺害が知れ渡るとマクベスは王の寝室にかけつけ王の従者を殺してしまいます。マクベスは遂に王の座に着きます。 予言故にバンクオーに激しい不安と嫉妬を覚えるマクベスは、刺客に命じバンクオーと息子の殺害をはかりますが、息子は逃げのびます。その晩、夫妻が催した宮中での晩餐会で、血まみれのバンクオーの亡霊が現れ、王座に座ります。(それはマクベスにしか見えません。驚愕したマクベスは、居並ぶ客人たちの前で狂乱状態になり、夫人はその場をつくろい、宴の終わりを告げます。宴会に貴族マクダフが現れなかったことで不安にかられたマクベスは、魔女達から何もかも聞き出そうと森にやって来ます。女から生まれたものにはマクベスは滅ぼされないし、バーナムの森が城まで動いてこない限り、マクベスは王座にあること。またマクダフに用心せよ ,と魔女は告げます。バンクオーへの不安を問いただすマクベスに、魔女はバンクオーとその子孫に王冠が授かった光景を示し、忽然と消え去る。怒り狂ったマクベスは英国に逃亡したマクダフとその一家の殺害を命令する。英国軍に率いられてマルコムとマクダフはスコットランドに入り、マクベスの城に攻め入ります。狂った無夢病者となり果てたマクベス夫人は自殺してしまいます。マクベスは城にこもますが、英国軍が木の枝を被って攻めてくるに及び森は動いたことになり、決戦の相手マクダフは母親の腹を裂いて出てきたと知り、予言はすべて二枚舌だったと悟ります。 ようやく、楽しみにしていた「マクベス」始まりました。多くの出演者、膨大なストーリーをたった5人で演じるという画期的な舞台。 初日は、萬斎さんのサプライズな演出で何が出てくるかわからない。観ていてドキドキ。疲れます。しかも、最前列でしたので、その迫力はでした。 ここから、多少のネタばれあり。また、私は、観劇中、萬斎さんのお顔ばかり見ているので、他のサイトのように、きちんとした、劇の流れにそった感想など、書けませんので、思いついたまま~です。 劇場内に入ると、舞台には、おっきな白いドーム。ドームは地球?天体?をあらわしているのでしょう。これかあ、「宇宙観」を感じさせる演出とは。しかし、シェイクスピアを、いきなり、宇宙に繋げてしまうとは、いかにも、萬斎さんらしい。 稲妻とともに、白いドームが光り、そこに、萬斎さんのシルエット。刀を振り回し、血が飛びちり…かっ、かっこいい。 白い布が落ちて、中から現れたマクベス。髪は、ふんわりパーマ?また、少し痩せられた?衣装のせいかな。 今回は、回り舞台構成を駆使した演出。いろいろなものが流れてくるし、面白い。しかし、戦い+苦悩のシーンなど、萬斎さんが一人で演じられるのですが~なんせ、役者は5人しかいないから~、回転舞台を使っていることもあり、舞台から落ちそうで、心配しました。 いつも、感心するのは、舞台上に出てくる小道具。へんに凝ったこだわりがいつも感じられる。今回は、魔女たちが作る毒のスープのお鍋がおしゃれだったり、魔女のお告げでマクベスが見せられる歴代の王たちの姿で、その王たちが持っているのがだったり???。 そして、今回一番印象に残ったのが、ダンカン王を殺して、王位についたマクベス夫妻のかぶった王冠。王冠に見えない~。 マクベス夫人のは、まるで、孫悟空が頭につけている「緊箍児(きんこじ)」のよう。ダイヤの飾りがついてステキなんだけど。 萬斎さんのマクベスの王冠にいたっては、以前のオウム真理教の信者がつけさせられていた、電流入りの?帽子のように。 2人とも、王位についたものの、そこが安住の場所ではなくて、常に不安と猜疑心に怯えていたから、私には、そんな風に見えたのかも。 これから、また、日一日、進化していく舞台が楽しみです。 今回は、あと2回しか観られないけど。