追っかけ日記 NO.271-至高の華ー
昨日は、宝生能楽堂に「至高の華」を観に参りました。 昨日の演目は狂言「舟渡聟」、能「竹生島 ~女体、道者~」。 狂言「舟渡聟」。聟入の(野村萬斎)が、途中、渡し舟に乗ります。船頭(野村万作)は無類の酒好きで、聟がみやげに携えた酒樽に目をつけ、強引に無心し、断ると舟を大揺れに揺らしたりするので、やむをえず振る舞うことになります。聟が聟入りをしに舅の家に行くと、舅が留守なので帰りを待つことになり、やがて帰宅した舅が物陰から聟の顔を見てびっくり、先ほど舟に乗せた聟が帰りを待っていたのです。舅は妻(野村万之介)の勧めもあって髭を剃り、袖で顔を隠して聟と対面するのですが、結局はばれてしまいます。 橋掛かりに登場した萬斎さん!可愛い! 狂言は、メイクをするわけでもなく、装束をつけただけなのに、なんだかいつもより、可愛い!若いお婿さんに見える! 役のイメージを作って出てらっしゃるからかしら。 能「竹生島 ~女体、道者~」。延喜の聖代に仕える大臣(ワキ・宝生閑)が竹生島参詣に出かけて琵琶湖畔に着くと、漁翁(前シテ梅若玄祥)と蜑女(梅若靖記)が乗った舟があったので、同乗させてもらいます。湖上の春景色を眺めている内に、舟は竹生島に着きます。女が降りるのを見て、臣下はこの島は女人禁制と聞いていると不審顔をするが、老人は、島に祭られている弁才天は女体の神であり、それは知らない人が言ったことであろうと教え、島の由来を語った後、自分たちは実は人間でないことを明かし、女は社檀の中に着え、老人は波間に姿を消します。臣下が待っていると、社檀がゆるぎ、光り輝く姿の女体の弁才天(梅若玄祥)が姿を表して舞を舞います。やがて湖上の波が荒れたかと思うと龍神(友枝昭世)が現れ、光り輝く金銀珠玉を臣下に捧げて、衆生済度の誓いを表して水中の龍宮に飛んで消え失せます。 今回の小書きは、「女体」。女体という小書きが付くと、後の役が逆転するそうです。前シテー老翁、後シテー弁財天(龍神)、前ツレー蜑女、後シテー龍神(弁財天)。 友枝さんが弁財天で、梅若さんが龍神のほうがあってるよなあ~なんて思ってしまいましたが。 小書き、『道者』は、間狂言の替え。常は末社が出てきて竹生島(宝厳寺)の由来を語るのですが、『道者』だと竹生島に参詣する巡礼者達(石田幸雄・深田博冶・高野和憲・竹山悠樹)が出て来て、竹生島の能力(野村萬斎)と賑やかな問答を見せるというものでした。 竹生島の弁財天(女)は、頭上に宇賀神像(人頭蛇身の老人像)を戴く、宇賀弁財天像なのだそうで、弁才天(女)の頭の上に、からだはうづを巻いた蛇身、その上に老人(男)の顔が乗っているとそうです。 そこで、「弁才天は女体にて即ち殿御を頭に戴いてござる。これは末世の衆生女は夫を大切に致せ殿御方便」。男と女が一体になっているゆえに、女人禁制が解かれるというのです。 石田さんと高野さんが男性参拝客、深田さんと竹山さんが女性の参拝客。 ??珍しい。高野さんじゃなくて、深田さんが女性。 その謎は、最後に解けました。"弁才天は女体にて即ち殿御を頭に戴いてござる" とうことで、なんと、女性が男性を肩車をして退場するのでした。大きな石田さんを担ぐには、深田さんじゃないと~ということだったんですね。 能力の姿で退場する萬斎さんの後姿~ため息がでるくらい美しかった~。