歌が紡ぐ物語
創作を行なっている人に教えておきたいテクがある。いや、テクと呼ぶほど大袈裟なものではない。ただ覚えておいて損はない方法だ。まず好きなアーティストのCDを1枚用意して欲しい。この時、ベスト盤のようなCDは、避けていただきたい。この1枚の中から好きな曲を1曲選ぶ。もちろんシングルカットされているようなメジャーな曲も避ける。選んだ曲がエンディングに流れて相応しい場面を想像する。その場面に至る物語を形作り…これはもちろん、エンディングだけではなく、クライマックスでもいいし、物語の冒頭でも構わない。いずれにしても、音をきっかけに場面を想像し、そこから物語を広げて行く方法だ。ここで気をつけて欲しいのは、詞の内容に引っ張られすぎないと言うこと。ある程度の符合は仕方ないにしても、まんま詞の内容通りでは創作にならない。冒頭でベスト盤を避け、シングルカットされているようなメジャーな曲を避けてもらったのは、このためだ。あまりにメジャーな曲は、詞の内容にイメージを引っ張られてしまう可能性が高い。あくまでも、この場面にこの曲が流れたら最高に盛り上がる、そんなことを考えて使うのだ。ぜひ発想が詰まった時に試して欲しい。少なくとも他人の小説や映画に毒されるよりは、よいものが発想できるはずだ。