読まずに書くなかれ
以前にも書いたが、物書きを志す者は語彙を豊富にする必要がある。これは、ひと昔前なら「ひたすら読め。読むのに飽きても、もう一度読め」と言われたものだ。もちろん、これには一理ある。繰り返し読むことによって語彙が豊富になるだけでなく、文章のリズムや表現、構成の仕方まで(理屈はわからなくても)感覚的に身につくからだ。この重要性は、昔も今も変わらない。繰り返し読むのが嫌だという人は、残念ながら者書きには向いてないのだ。無論、繰り返し読む以外の方法で語彙を豊富にする方法もない訳ではない。それこそ百科事典の頭から終わりまで内容を理解しながら読破するような手もある。ただ一見してわかるように、この方法では語彙だけしか豊富にならない。文章のリズムや表現、構成の仕方は身につかないのだ。苦労の割に得るものが少ない。繰り返し読む方が結果的に身につく要素も多く、理に適っているのである。