義を見てせざるは勇なきなり
諸事情でとあるソーシャルRPGの中で同盟の盟主を引き受けている。無論自発的になった訳ではなく、なりゆきで引き受けたというのが正しい。だが、やるからにはちゃんとやりたい。そう思っている。だから多少は手間になっても同盟員が楽しめる方向に持っていきたいと考えているし、同盟員が人の道を外れて他のプレイヤーに迷惑をかけないように気を配っている。そんな中、ひとりの同盟員の領地がよその同盟から侵略を受けた。当初は、本人がひとりで対処しようとしていたようだ。だが、近隣に味方の同盟員がいないという独特の立地条件も手伝ってたちまち危機的状況に陥った。流石に見かねて援軍を送ったが、距離的な問題もあり、到着までに時間がかかってしまう。どうにも盟主ひとりの手に余る状況に、不本意ながら他の同盟員に声をかけてみた。同じ同盟に属しているというだけで、特別親しくもないその同盟員の危機に対して、多くの仲間が立ち上がってくれた。嬉しかった。仲間のためにみんなが援軍を送ってくれたのだ。普段は好き勝手にしているように見えていたが、仲間の危機に馳せ参じてくれたのである。盟主として、いや、ひとりの人間として、本当に嬉しく思った。世の中まだまだ捨てたものじゃない。ましてや仮想現実の世界であっても…こっそり感涙した私がいた。