ワイルド7
昨日は、12月21日公開の「ワイルド7」の試写会に行ってきた。マシンガンで武装した集団が銀行に立て篭もった。行員を人質にした武装集団の前に警察は成す術が無い。やむなく犯人グループの要求通り、逃走用の輸送車を用意。一方犯人グループは、人質共々麻袋をかぶって輸送車へ移動する。これでは犯人だけ狙撃しようと待ち構えた警察も手が出せない。と、車に乗り込む寸前、犯人グループは人質をひとりだけ車に乗せ、あとの人質は射殺してしまう。その冷徹なやり口を見て呆気に取られた警察を尻目に悠々と逃走する犯人グループ。彼らの逃走は成功したかに思えた…のだが。「ここまでくればもう大丈夫」と残る人質を射殺しようとした、その時。銃声一閃。犯人が射殺される。爆音と共に現れたのは7台のバイクに跨った男達だった…初っ端から魅せてくれる。いきなりのアクションの連続である。しかも凶悪犯を容赦無く叩き潰す。カタルシスの発散全開だ。原作やテレビドラマのイメージは、この際忘れよう。いや、見た目こそ今風にアレンジされているものの、そこに描き出された物語は紛れもなく原作のワイルド7である。根底に流れる本質は、原作そのものだった。そういう意味では、上手く実写化に成功したといっていいだろう。特筆すべきは、椎名桔平に尽きる。彼の熱演は、演技を超えて独特のムードを醸し出している。これが実に見事なのだ。これはもう怪演と呼べるかもしれない。無論、誉め言葉としてである。また中井貴一演じる草波も(そのねちっこい演技があいまって)なんとも言えないいい雰囲気を出している。このふたりを見ているだけでも退屈しない。個性的な登場人物が多い中で相殺することなく、これだけ個性が両立するのもきちんと描き分けができているからだろう。そういった部分も併せて観て欲しい作品である。