いかりや長介氏 死去
「日本のモーガンフリーマン」こといかりや長介さんがお亡くなりになりました。 最期の一言が、「だめだ、こりゃ」であったかどうかは定かではありませんが慎んでお悔やみ申し上げます。 いかりや長介さんといえばストイックなまでの打ち合わせとリハーサルで個性派だらけのドリフターズをまとめ上げていたことは有名です。 リーダーであったと同時に適材適所にメンバーを配置する優れた演出家でもありました。 先日発売されたドリフターズのDVDを観ていてふと思ったのですが、高木ブーの存在がものすごく気になりました。 長さんは、どう考えて高木ブーというコメディアンを演出していたのでしょう。 例えばあるワンシーン。 幕が上がるとまず高木ブーがトコトコと舞台上手から小走りで現れます。 次いで仲本工事と加藤茶が現れます。 その後志村けんがおかしなかっこうで現れる、という出オチです。 高木ブーが「いなくても」よいコントなのです。そういった演出は他のコントでも多々見受けられました。今、どのテレビ番組のを見ていても、出ているコメディアンは必ず「おもしろいこと」を要求されます。ただそこにいるだけでは全く存在価値がないのです。最近では職業歌手でさえ、なにか「おもしろいこと」を暗黙の了解で要求されます。しかし、高木ブーはコメディアンでありながら「そこにいる」だけで良いのです。我々も高木ブーに「おもしろいこと」を期待していません。では、高木ブー抜きにドリフが成立するかといえば・・・・決して成り立ちません。いかりや長介がドリフという5人組みのコメディーグループの中で高木ブーの役割をそう割り当てたのです。これはもの凄い役割配置であり、優れた演出です。こんな芸能人は彼以外に思いつきません。この絶妙なメンバー演出のバランスがドリフターズを伝説のグループに仕立て上げたのではないでしょうか。この真相を聞くこともなく逝ってしまったことが本当に悔やまれるのです。 皆が悲痛に打ちのめされている時に、 「なんてな・・・」とか言ってひょっこり現れてほしいものです。合掌......