サマータイム
暑い。こんな日には、スタンダードの「サマータイム」を聴きたくなる。ああ、夏だ・・暮らしも豊かになる魚は飛び跳ね 綿花はスクスク育つあんたのお父さんは金持ち お母さんはきれいだよだから泣くのはおやめ いい子だから誰のサマータイムを聴こうか。オーソドックスに、マイルスの「ポギーとベス」だろうか。マイルス&ギルだと、「スケッチ・オブ・スペイン」のアランフェス協奏曲に走ってしまいそう。こんな暑さには、思いっきり悲惨な「サマータイム」を聴いて徹底的に打ちのめされたい。そうすると、逆に明日への展望が開けてくるかもしれない。となると、いちばんはアルバート・アイラーか。心がかきむしられる様なテナーサックスの音。落ち込むだけ落ち込む。悲惨の極みだ。アルトサックスなら、アート・ペッパーだ。このアルバムでは、他の曲はひょうひょうと演奏されている中で、唯一重々しい、サマータイム。ビル・エバンスやMJQも捨てがたいが、ボーカルにいく。ジャニス・ジョプリンの「チープ・スリル」は、横において、ジャズ・シンガーにこだわる。ヘレン・メリルがお好みだが、私の一押しは、ケイコ・リーのデビュー作。グラディ・テイトとのデュエットが、心地好く、打ちひしがれた気持ちを奮い立たせそう。