神経症が治った後のアフターケアが必要な理由
私たちは自動車を買うと定期的にメンテナンスをします。家やマンションを購入した時も、修繕積立をして定期的に補修をしています。1年に1回は生活習慣病検診をして、問題が見つかれば治療します。神経症から回復した人も、その後メンテナンス、アフターケアが欠かせないと思います。最悪期を脱して、生活が元に戻ったとしても、再発しやすいからです。また不安にとらわれることによる生きづらさは簡単に無くならないからです。精神療法でアフターケアまで視野に入れているのは森田療法だけだと思います。精神療法には、精神分析、認知行動療法、自律訓練法、内観療法、箱庭療法、サイコドラマ、家族療法、交流分析、その他いろいろありますが、その後生涯にわたってアフターケアをしていることを聞いたことがありません。一旦治療が終われば基本的には以後かかわりを持ちません。森田先生は元入院患者を集めて形外会を開催されていました。水谷啓二先生も啓心会を定期的に開催されていました。現在回復した人たちの自助組織があるのも森田療法の大きな特徴です。集談会に参加する人たちのほとんどは神経症を克服した人たちです。神経症で苦しんでいる人たちの援助とアフターケアを兼ねているのです。私は神経症の蟻地獄から地上に這い出た後のアフターケアは欠かせないと考えています。ではどんな点に注意してアフターケアを行うとよいのか。・不安にとらわれて生活が停滞していないか。・不安と欲望のバランスはとれているのか。・日常生活に丁寧に取り組んでいるか。・規則正しい健康的な生活になっているか。・観念優先で事実軽視に陥っていないか。・自分の長所や強みを活かすようにしているか。・人間関係では傾聴、共感、受容、許容を心掛けているか。・自己実現を目指すための生涯学習を続けているか。・その他これらが守られていないとまた神経症が再発する可能性が高いと思います。また生きづらさを抱え込むことになります。そのならないためのアフターケアです。これらは自分一人で取り組むことは難しいと思います。集談会のような自助グループに参加して相互点検を行うことが有効です。実行することはしんどいかも知れませんが、これを継続することで、人生の最後を迎えたときに、後悔がなくなり、感謝の念で満たされると思っております。