どうしようもない上司とどう付き合うか
あなたの周りにこんな上司はいませんか。傲慢な上司、仕事をしない上司、批判ばかりする上司、意地の悪い上司、無能な上司、意思決定できない上司、上にへつらい下に厳しい上司、感情の起伏の激しい上司、権威を振り回す上司、リーダーシップのない上司、やる気のない上司、無理難題を押し付ける上司、部下を育てることができない上司・・・こういう上司のもとで仕事をしていくことは辛いものです。ストレスがたまり、仕事を放棄したくなります。実際に、「こんな上司のもとで仕事なんかしていられるものか」と言って辞職する人もいます。でも多くの人は、家族の生活を考えて我慢しているのが現状だろうと思います。ではどういうスタンスで付き合ったらよいのでしょうか。仕事の妨げになる悪い上司を、テレビゲームの「悪玉キャラクター」に見立てるというのはどうでしょうか。例えば、「スーパーマリオブラザーズ」では、さまざまな障害物や悪玉キャラクターが次々に出てきます。それらを回避し、或いは押しのけて最終ゴールを目指します。このゲームの面白いところは、行く手の先々に必ず障害物が用意されているということです。もし障害物がなく、簡単にゴールに到達するゲームだとすると、ゲームとしては成り立ちません。そんなゲームは面白くも楽しくもありません。絶えず障害物が待ち構えているというのは、私たちの人生そのものですね。その障害物を正面からまともにぶつかるのではなく、うまくかわすことを心掛けるのです。ときには巧みに味方につけることができればいうことはありません。上司の言動に振り回されるだけというのは、地獄の苦しみです。それは自分の気持ちや欲求とまともに向き合っていないから起きるのではないでしょうか。上司に限らず、親や学校の先生などを完全無欠で理想化し過ぎるのは問題だと思います。すべての面に渡りパーフェクトな人間像を求めてしまうのは無理があります。人間というのは、誰でもプラスの面があれば、マイナスの面があります。どんなに高潔に見える人であっても、醜い面、欠点、弱みを抱えています。長所や強みがあれば、短所や弱みもあって全体としてみればバランスがとれているのです。それなのに権限を持ち、人を指導し、教育する立場の人は、完全無欠であるべきであると理想化していると、その「かくあるべし」によって無残にもその期待が裏切られることになります。その反動として、上司、親、先生に反旗を翻して対立することになります。双方が不幸になる原因がここにあります。どんな人間も完全無欠な人はいない。そういう人間同士が、仕事という現場で激しくぶつかり合っているのが、普通の状態であると心得ていれば、少々問題行動のある上司に対してもむきになる事が防げるのではないでしょうか。完全に無視するでもなく、完全に追随するでもなく、森田でいう不即不離を心掛けるのです。私の経験では、そういう上司はいずれ降格、左遷、退職に追い込まれていました。管理職として成果を上げられないということは、会社のお荷物になるわけです。そういう人を平社員として降格させても、行きがかり上人間関係が窮屈になります。その上司の上にはさらに上の上司がいて、厳しく査定していることを見逃してはいけません。のらりくらりとほどほどの付き合いに留めることをお勧めしたいと思います。会社勤めの最大の目的は、生活費を賄うということです。この目的を忘れないことも大切です。この目的を忘れてしまうと、自分の立ち位置が浮遊物のように空間をさ迷うことになります。この目的を忘れて、上司との良好な人間関係作りを目指すことは本末転倒です。このことを森田理論では、手段の自己目的化と言います。逆に言うと自分の目標をしっかりと意識している限り、上司の言動にいちいち振り回されてしまうことはなくなります。そしていずれ潮目が変わるはずだと希望を持っておくことです。