☆相手と意見が対立したときの対応
形外会での篠崎氏の発言です。私は治らない時は、家の人に乱暴なことをいわなかったが、治ってからは、ちょっとの事で、弟と言い争って乱暴な口を聞くようになった。これはどういうことでしょうか。(森田全集第5巻 144ページ)これに答えて森田先生曰く。「根治法」の中に、陸軍中尉は、退院してから、以前と違って、よく部下を思うままに叱り、またよくかわいがるようになったといっているのと同じである。いたずらに自分を善人ぶらずつくろわず、自分のありのままをさらけだすからである。兄弟・朋友でも、いたずらに道学者流に礼儀正しく、常に慇懃であるという事が、必ずしも親密であり、愛情があるということはできない。我々はお互いに少々無理な事をいっても許され、自分の欠点をも知ってくれるのでなければ、本当の平和は得られないのである。これに対して私の感想を投稿してみます。篠崎さんは、治る前は、家族に対して言いたいことがあっても我慢していたのだと思われます。表面的には平穏で、波風が立つことがなかったでしょう。しかし精神的にはつらい状況です。自分の素直で正直な気持ちを抑え込んでいたので、イライラしてストレスが溜まっていたことでしょう。その後、入院されて、自分の正直な気持ちを打ちだすという方法を身につけられました。これは「純な心」の体得のことです。どんな感情も、価値判断しない。反発、反抗、抑圧しないで、そのまま味わう。できればその素直な感情を直接吐き出す。これができるようになった。森田理論が実践によって体得できたということです。そうなると、相手とは意見の相違が生まれてきます。お互いの自我のぶつかり合いが生まれるのです。その時に、自分の主張を押し通して、相手をコントロールしようとすると、喧嘩になります。森田でいう「かくあるべし」の押し付けになっては、以前よりも人間関係は悪くなります。森田では2人の人間がいれば、必ず意見や主張の違いが生まれます。そんな時はお互いに自分の気持ちを出し合う。そして、お互いの見解の違いを確認し合う。そして話し合いをして、妥協点を探り合うための交渉を行う。譲られたり、譲ったりする人間関係を構築していく。この態度は夫婦、これから結婚しようとしている人にとっては、とても重要です。結婚する前に、意見の対立したとき、どうしようかとすり合わせを行うことは必須となります。夫婦というのは、最初はラブラブでもすぐにいがみ合うようになりますから。取り決めたことを文書にして約束し、厳格に厳守することが大切です。離婚寸前の喧嘩をするような時に、この文書を机の前においてやり合うのです。約束を破って離婚に至ったときは、慰謝料を通常の2倍支払うなどという文言があれば、さらに有効になるでしょう。