ビデオ撮影で事実を知るということ
自分のことは誰よりもよくわかっていると思っている人が多いが、それは半分ぐらいは合っているが、半分は間違っている。たとえば、体の調子が悪くて医者の診察を受けてみたら末期ガンだったというようなことがある。膵臓ガンなどは手遅れになることが多い。これは自分がガンになっていたという、自覚がないのが原因である。自分の音声は他人にどのように聞こえているのか、自分ではあまりよくわからない。自分の声を録音して、再生してみて始めてわかるのである。自分の考え方や動作について、第三者的に客観的な立場に立って眺めてみるということは、実態を正確に把握し、修正して改善することに役立つ。私はアルトサックスを吹いているが、ある人からビデオで撮影して、自分の演奏技術を客観的に見てみたらどうかと言われた。Yahooオークションで探してみると、機能的は落ちるが、 6,000円のビデオカメラがあった。これで撮影して再生してみた。すると、どんな音色が出ているのかよくわかった。自分で演奏しているときは、実はよくわからなかったのだ。また、 8分休符を無視して演奏している箇所があった。楽譜を無視して、自分勝手に演奏している箇所も分かった。聞いていて違和感がある箇所がある。問題のある事実がよく分かったので、修正して改善につなげることができた。次にこのビデオカメラを利用して、老人ホームで行う一人一芸もビデオ撮影してみた。高知のしば天踊り、安来節のどじょうすくい、江戸寿獅子という獅子舞、浪曲奇術、腹話術、各種手品である。すると、色々と改善点が見つかった。しばてん踊りでは、もっと手足の動きを大きく使う必要があると感じた。どじょうすくいは、歩く時にもっと腰を上下させないと、見栄えが悪い。その他所作の改善点がいくつかあった。獅子舞は、口の動きや耳の動きは意外とよかった。ただ胸噛みという所作と山越えという所作の改善点が見つかった。浪曲奇術は、すべて口パクで行うがつい声を出してしまう癖がでていた。あとコップの芸で改善点が見つかった。腹話術では、改善は難しいかもしれないが、五郎君という人形の声が今一つであることが分かった。また首をすこし上に出さないとおかしいことがよく分かった。続いて、カラオケも撮影してみた。you tubeのカラオケに合わせて歌ってみた。音痴なのがよく分かった。いきなり歌うのはまずい。発声練習が大切なのがよく分かった。高音部がの声が十分に出ない。人に不快感を与えず、自分でも楽しむ程度にはしたいと思う。持ち歌を集中して練習しようと思った。私はこれらのことから、自分の考え方や思考の癖も客観的に見ないと独りよがりになるということがよく分かった。ついネガティブで悲観的になってしまう。事実を確かめないで先入観や決めつけで動いてしまう。小さな問題を、すぐに人生を左右するような大きな問題に拡大してしまう。そういう自己中心的な考え方が自分を苦しめているのだ。では独りよがりな自分の考え方や思考の癖を客観的に見て、事実誤認をなくするにはどうしたらよいのか。それは他人から教えてもらうことが有効である。友達、配偶者、先生、カウンセラー、生活の発見会の集談会という自助グループの仲間などである。それなくして、自分を客観的に第3者的に眺めることは難しいのではないかと思う。