マンション管理人の苦情の対応方法
現在マンションの管理人の仕事をしている。もう6年目になる。また管理人17名の取りまとめをしている。年3回のブロック会議、懇親会の実施、地区長会議への出席、管理人の苦情相談、仕事の進め方相談、会社からの連絡等を行っている。よく電話やFAXが入ってくる。先日こんな苦情の電話があった。その方は昨年7月から管理人の仕事を始めた人だ。勤務時間は1日4時間。週3日の勤務の方である。その方の内容はこうである。管理会社の担当営業マンを入社以来見たことがない。自分がいないときに来ているが実際に顔を見たことがない。またマンションを点検して不具合箇所を報告しても返事がない。現在樋が詰まって雨漏りがしている。電話やFAXしても反応がないのでイライラする。ついけんか腰で話をするものだから、人間関係が悪化している。もう辞めたいという。この話が本当だとするともう7カ月も管理会社の営業マンはその管理人と会っていないことになる。管理人と会わないときめ細かい管理はできない。管理人は毎日勤務棟を巡回しており、居住者に接している。多くの情報を持っているのである。これを活用して、きめ細かいサービスを提供すればその営業マンは管理組合から信頼されるようになる。逆に信頼を損なうと、管理委託契約は1年更新なので管理を打ち切られてしまうのである。一方営業マンにも言い分がある。営業マンは一人15棟ぐらいの管理棟を持っている。その管理棟が広範囲に割り当てられている。しかも営業車が少なくフットワークよく動くことができない。毎月の理事会の実施、報告、年一回の総会の資料作り、報告等事務処理に追われている。その他不具合箇所の修繕、大規模修理工事、さまざまな居住者からのクレーム対応に追われている。とてもきめ細かい対応はむずかしい状況にある。以上の点を踏まえて、私はその人に森田理論を応用して次のようにアドバイスした。Kさんは現在、担当営業マンをとても許すことはできないと考えておられる。その根拠は、営業マンは、「1カ月に1回は担当している棟を巡回して管理人と面会すべきである」という考え方が強いからではないか。そういう「かくあるべし」で担当営業マンを見ていると、ふつふつと怒りが湧いてくる。どうして営業マンとしてなすべきことができないのか。営業マン失格ではないのか。そうゆう営業のもとでまじめに仕事をしてゆくことはばかばかしい。私は次のように聞いてみた。営業が回ってこないことで、Kさんにどういう不都合が発生しているのか。かえって巡回がないので自由気ままに仕事ができるのではないか。Kさんは、もっともっと、そういう現状を見つめてみることに専念したらどうか。「かくあるべし」を振り回して、担当営業マンを追い込み、自分もストレスを増悪させてなんのメリットがあるのか。事実を見つめていると、どうして担当営業マンが巡回をしないのか。この営業マンが担当している他の棟はどうなっているのか。自然に情報を集めるようになる。試しに電話をしてみると、確かに巡回はそれほど行われていなかった。ところがその過程で貴重な情報が寄せられた。管理組合の理事さんや居住者からのクレームについてはすぐに対応しているということだった。そこから考えられることは、樋の詰まりの問題を管理組合の理事さんや居住者に伝えて、その方からクレームとして管理会社に電話してもらうのだ。すると今までの経過からするとその営業マンはすぐに対応するはずだ。事実を見つめることに専念し、それ以上のことに手を出さないことはこんなよいことが起きるのだ。また自分で窮地に陥った時は、蟻地獄に落ちたようなものである。もがけばもがくほど悪循環に陥る。そんな時は謙虚になって第三者のアドバイスを受けるようにしたらどうか。Kさんは、一応は納得したが、また電話がかかってきて、今度その営業マンと事務の責任者を交えて対決をすることにしたという。残念ながら、あまりよい展開にはならないような気がしている。