仕事に対する考え方
松浦弥太郎さんがこんな話をされています。(今日もていねいに PHP文庫 183ページ)自分はフライパンなのか、まな板なのか、土鍋なのか・・・。つぶさに観察し、自分のことをできる限り正しく理解しましょう。そのためには、家族、会社、地域、社会、すべての人間とのかかわりの中で、自分という道具はどう役立ち、何に貢献できるかを考えてみるといいのです。フライパンが華やかで格好よさそうに思えても、自分という道具が土鍋であれば、フライパンの役目をしようと思ってはなりません。人から「包丁をやれ」と命じられても、自分という道具が菜箸であれば、包丁になろうとしてはいけません。使い道を間違えた道具は、何の役にも立たないうえ、無理を続けたら道具そのものが壊れてしまいます。道具となった自分が、「これならお役に立てますよ」というものを見つける。これが本当の意味で自己主張だと僕は考えているのです。この話から森田理論を深めてみよう。2点ある。まず自分がどんな仕事に就いて生活していくか。とても重要なことです。「労働省編職業分類」によると、職業は、日本には約2万8000種類あるそうである。つまり無限あるということである。職業を選ぶにはこれは面白そうだ。なんとかやれるかもしれない。と思えるようなものを選ぶことが大切だ。私は大学卒業後希望に燃えて出版社に入った。希望は雑誌の記者である。ところが訪問営業の仕事に回された。すぐに適用不安が起きた。何しろ対人恐怖症である。実際うまくいかなかった。3,4年勤務していると5人ぐらいの部下ができた。これは上から指示されたことであったが、自分には全く不適であった。適用不安を感じながらも引き受けたのである。自分も実績を上げなければいけない。部下の指導もしなければいけなかったのである。次に繊維の会社に入り、営業サポートの仕事に就いた。受注発注、計数管理業務、経理、人事、総務・庶務などの仕事をした。これは以前の仕事の反省の上に立って選んだので多少はましだった。ところが、ここでまた神経症が出てきた。自分の仕事に対してミスや失敗を極端に恐れるようになったのである。人の評価や批判を極端に恐れるようになった。そしてまた中間管理職として部下の人事管理は全くお粗末であった。私の職業生活は苦しいばかりであった。以上の反省から、職業選びはもっと慎重でなくてはならないと思うのである。何しろ2万8000種もあるのである。その人に合った仕事は必ずあるはずである。1年や2年はそのために費やしてもよい。あるいはインターン制度のような感じで、試しにいろんな興味ある職種をたくさん体験してみるのがよいのではないかと思っている。皆さんには、自分の神経質性格の長所と短所を自覚して、自分の適職を見つけてほしいものである。そういう仕事に就ければ、社会に十分役に立ってゆけると思う。