学習したことをノートに書きだす
精神科医の樺沢紫苑先生がソムリエの田崎真也氏の話をされています。田崎真也さんが、世界最優秀ソムリエコンクールで優勝したときの映像を見ました。グラスに入った1杯のワイン。色、味、香りを頼りに、ブドウの種類、地域、畑、ビンテージ(何年ものか)を全て言い当てるのに驚愕しました。味や香りという漠然とした感覚を、どのように記憶するのか。それも何百種類、いや、コンテストに出るような人は、1000種類以上もの違いを記憶するそうです。そんな五感を記憶する方法が「言葉にして伝える技術 ソムリエの表現力」(田崎真也 祥伝社)で紹介されている。この本によると、味や香りといった一瞬で消え去るような繊細な感覚を言葉で表現することによってストーリー化している。結果として、五感を記憶に残すことができるというわけです。「なぜソムリエは、五感で感じたことを言葉に置き換えるのでしょうか。五感で受け止めた感覚は、潜在的な記憶に留まることはあっても、それだけでは、自由自在に引き出せる記憶にはなっていません。いつでも思い出し、より明確に呼び起こすためには、言葉が必要なのです。ワインを一種類ずつ、五感のセンサーで受け止めた感覚を左脳で判断し、言語化し、記憶し、それを整理しデータとして蓄積することにより、容易に検索するための手助けとするのです」「言語化するということは、記憶を整理しやすいツールに変え、意味づけをすることで、より正確なものにして、そして瞬時に呼び起こすことで、自在に応用できるようにするための最適な方法だと僕は思っています」(覚えない記憶術 樺沢紫苑 サンマーク出版 88ページ)この話は森田理論学習のなかにぜひとも取り入れたいものです。生活の発見誌のなかに毎月「体験記」があります。「森田理論の学習の要点」の「まとめのしかた」に添って、自分の場合はどうだったのかを振り返って文章にしています。文章にするということが言語化するということです。それを何度も読み返して加筆訂正を行います。これが自覚を深めるために避けて通れない作業となっています。森田理論学習には、森田理論を自分に引き寄せて検討するという作業が大事になります。次に生活の発見誌で毎月琴線に触れた記事はノートに書きだすようにする。毎月1つか2つを書き出して、自分の考えを付け加える。それをみんなに説明できるように整理して読後感想として発表する。この作業を継続していると、森田理論をより深く学ぶことができるようになります。参加者全員がそのような気持ちを持っていると、森田理論学習の深耕につながります。今年の柿は豊作でした。