続・野田聖子さんの妊娠に思うこと。
「週刊新潮」9月2日号に載った、野田聖子さんの手記を読みました。先日書いた感想に変化なく、共感もできないし理解もできないです。臓器移植もそうですが、日本で法整備がされていないから海外で、っていうのもわからなくはないけれど、第三者からの卵子提供での体外受精っていうのは直接的に生命にかかわらないし、それどころか高齢での妊娠は逆に命の危険があるんじゃないかと…。なんでしょうね。海外での不妊治療も個人の自由ではあると思うんですけど、日本国内で法整備が不十分で、倫理的な問題もクリアになっていない(国民にあまり認知されていない)治療を、海外で受けるっていうのは、国会議員としてはどうなのかと思ってしまうのです。それだけ強い思いでお子さんが欲しい、自分で産みたい、という気持ちがあるということなんだと思いますが、それはご本人しかわからない気持ちで、きっと、本当なんだと思います。でもそれなら議員という身分ではなく、お辞めになって治療に専念するとか育児に専念すればいいのではないかと。議員も続けたいし、自分の意思も通したい、っていうなにもかも思い通りにしたい、というのがよくわかりません。養子の件についても手記に書いてありました。「現在の日本は、養子を育てる親に関する基準が、事実上、養子を斡旋する民間団体等の「裁量」に委ねられています。実際、そうした団体を訪ねましたが、子どもの養育、将来的な福祉を考えた場合に、高齢の親では子どもが可哀想だから、50歳近い私を親にするわけにはいかないと言われました。同様の理由から共働きはダメ、女性が働いていてはダメ、とも。つまり今の私は『親になる資格』がないわけです」(週刊新潮 9/2号)これは実際そうなんでしょうけれど、選択肢はもっと広いはずです。私も詳しくないですが、里親制度など、施設で育つ子どもを支援する制度はもっとたくさんあると思います。高齢の親や、共働きではダメという基準があるのは、おそらくそうした団体の長年の活動の末に、子どもの利益の考えてできた基準なのだと思います。一度施設に入った子どもの場合、二度と不幸な目にあってはいけない、そのためには育て親をきちんと審査、選別することが子どものためには必要なんでしょう。あくまで、子ども目線です。養子をもらう側からすれば、共働きでもちゃんと子育てしている家庭はいっぱいあるじゃないかと思うんですが、養子を斡旋する側からすれば、なるべくマイナス要素は排除して、すこしでも条件のよい家庭の養子になって欲しい、子どものことを最大限に考えた夫婦のもとに行って欲しい、という思いがあるんじゃないでしょうか。高齢ではダメ、というのも子どもが可哀想というだけではなくて、高齢ならそれだけ親が早く亡くなるリスク、病気になってしまうリスク、収入が減ってしまうリスクなどが高くなるからなんじゃないかと思います。ただ、実の親が育てられなくなってしまった子どもたちが施設ではなく、ひとりでも多く一般家庭で育てられるようになるためにはこういう基準も緩和していく必要もあるかもしれません。そのためには国や地域社会などの支援や理解を広げていく必要があります。養子ではなく、里親のもとで生活する子どもたちもいます。しかし、いまは里親さんのなり手が少ないようです。野田さんには、こうした状況にも目を向けて、国会議員として支援策を打ち出したり国民に理解を求めるような活動をして欲しかった。今後に期待します。ところで、野田さんがおっしゃっている養子というのは「特別養子縁組」のことなんでしょうか。普通の「養子縁組」だったら年齢制限もないような気がしますが、どうなんだろう。施設や団体で独自基準があるのかしら。野田さんの動向を見ていて、一貫して感じるのは常に自分目線なんですよね。子どもにとってどうか、という目線が感じられません。たぶん、そこが一番違和感を感じるところ。子どもにとってなにが幸せかということを考えたら、わざわざ海外で不妊治療したりハイリスクな高齢出産をするよりも、もっとできることがあるんじゃないかって思ってしまう。(海外での不妊治療や高齢出産自体を否定するわけじゃないですが、野田さんの場合はいろんな条件が重なっていて、なぜそこまでするのか、って思っちゃいます)翻って、国会議員というのは国民の目線で仕事をしてもらわないと困るのに、この人は常に自分の目線でしか物事を見られないんじゃないかという不信感。まぁ、それも、無事にご出産されて子育てをされたら変わるかもしれないので、そこに期待します。でも仕事は続けるとおっしゃってるようなので、子育ては他人任せにしちゃうのかもねー、という心配もおおいにあり。(関連記事)■野田聖子さんの妊娠に思うこと。(へにょへにょ日記)(参考サイト)■里親(養育家庭)と養子縁組の違い(里親から里子への児童虐待~搾取される子供たち~)■特別養子縁組と普通養子縁組(環の会)■東京都の里親制度について (東京都福祉保健局)■赤ちゃん養護 施設より養子縁組で家庭へ オピニオン・わたしの視点(Mariaの戦いと祈り)■コラム 認知度が低い里子、養子を通じた子育て(平成17年版 国民生活白書)■乳児院と児童養護施設(はばたけ! 養護施設出身者)