メモ=いのちの鎖(4)
栄養補助食品の「品質保証」のお粗末さ 品質保証の重要性について、もう少し続けましょう。 「2001ニュートラコン会議」で、ある科学者のグループが、栄養補助食品産業における品質保証がいかにお粗末かを示したデータを発表しました。 かれらは大手メーカーのさまざまな銘柄の製品を無作為に購入し、そのラベルに記されている量の活性成分が製品に本当に含まれているかどうかを検証する試験を行ったのです。結果は、テストを行ったかれらにとってもショックなものでした。例をいくつか示しましょう。 ・ エフェドラ(麻黄)=表示に反してまったく入っていない製品がある一方、ラベルに表示されている数値の154%もの量が入っている製品も。 ・ギンコウ(イチョウ)=30製品中、6製品の成分が表示と異なっている。 ・ジンセン(朝鮮人参)=ジンセノシドの量に、同一製品で10倍のばらつきが。 ・ヨヒンベ=26製品中、効果的な量が入っている製品は一つもなし。 エフェドラはひと頃、アメリカでナンバーワンの売り上げがありました。現在はその麻薬性から非合法とされていますから、その先取りとしてまったく入っていない(入れていない)というのもうなずけなくはありませんが、エフェドラを目当てに買った人はたまりません。 ギンコウは記憶力にかかわる作用をもちますが、効果が期待できるのは、ラベルに書かれている量よりもはるかに高い濃度のものです。しかも30種の大手銘柄のうち、6製品はラベルに書かれている、効果が期待できそうもない量すら入っていませんでした。 ジンセン製品に至っては、品質管理はまったくなされておらず、標準化もされていませんでした。これでは同じ製品でもカプセルごとに効果が大きく違ってきます。 ヨヒンベは男性の性機能障害に効果がありますが、それも本当にカプセルにヨヒンベが入っていればの話です(私はヨヒンベを必ずしも推奨しているのではありません。ヨヒンベは血圧を上げるはたらきがありますから、活性のあるヨヒンベを含む栄養補助食品を利用する際は十分注意してください)。 問題は、ここでテストされた製品が消費者によく知られる有名な銘柄だったということです。この結果を見れば、多くの人が栄養補助食品を摂ることで栄養の不足をサポートできるというのは、単なる商品を売るための"うたい文句"に過ぎない、と考えるのも当然です。 栄養補助食品の原材料にきびしい目を しかし、それにもかかわらず、私は読者の皆さんに断言します。 適正な栄養素によって作られ、厳密な品質管理のもとで製品化され、信頼できる研究データにもとづいて正しく摂取すれば、栄養補助食品は間違いなく、あなたの体の正常な生理機能を効果的にサポートします! 栄養素を摂取することで病気を治す「栄養療法」に対しては、まだ強い偏見があります。この療法がJAMA(the Journal of the American Medical Association)のような権威ある医学ジャーナル誌に登場するのは、まだ何年も先だろうと私は見ています。医療専門家が栄養療法の価値に目覚め、その具体的な方法を定期的に学ぶようになるまでには、何年もかかるでしょう。 しかしすでに、栄養素が人体の生理機能に強い影響を及ぼすことは、科学によってはっきり証明されています。 残念ながら今日では、地球上に大気汚染や水質汚染と関わりのない場所はどこにもありません。ですからたとえそこが有機農場であっても、収穫された農産物(加工食品や栄養補助食品の原材料)が汚染されていないとは言い切れません。 空気中の農薬は、風に乗って運ばれます。農薬は北極の雪や氷の中から南極のペンギンの脂肪組織のなかまで、地球上のあらゆる場所に存在が確認されています。ですから、自社の製品がクリーンな原材料からのみ作られていると言う会社があったら、それは嘘をついているか、品質保証のための原料の検査をしたことがないかのどちらかです。 地球上には残念ながら、現代が生み出した「毒」に侵されていない場所などないのです。空気中には常に農薬が存在しています。空気清浄システムが完備した巨大なドームのなかに密閉された農場でもない限り、「有機」と表示された食物にも殺虫剤がついています。 私は「有機」と称される食物に、値段ほどの価値がないとは言いません。ただ有機農法と呼ばれる不確かな方法によって育てられたものに、毒性のものが絶対に入っていないとは言えないということです。 有機農法とはせいぜい「故意に毒を添加していない」という意味しかありません。前向きで好ましい農法ではあっても、毒性のものが入っていないという保障にはならないのです。 このことについてもう少し話しを進めましょう。 加熱することで食品の栄養素は減少する 現代において、すべての原材料は注意深くそして何度も検査されるべきです。単に農薬の有無だけでなく、有毒な金属、化学合成品そして細菌もです。 米国50州のあらゆる場所で、農場主は知らず知らずのうちに少なくとも17種の有毒金属の混じった農薬を使っています。農業生産のあらゆる場面で、鉄製品の副産物ともいえる大量の有毒金属を取り除くのはきわめて困難なことです。州政府の役人はそれに気づいてはいますが、市民はそれを知りません。 私はこの件に関して、米国以外の国のデータを所有していません。あなたは自分の国でこれらの毒がどう処理されているのかご存知ですか?この農薬のなかの有毒金属について、あなたの国も他の多くの国と同様に米国に似たり寄ったりではありませんか? どのようなタイプの生産物でも、完全に汚染がないものにするには、原料から検出された毒を洗い落とさなければなりません。この毒の洗い落としですが、たとえ熱を使わない適切な洗浄でも、原材料から栄養素が多少失われる原因になります。 栄養補助食品メーカーは、必要な有効成分が何であろうと、かれらが求める有効性濃度に達するまで、その抽出はできるだけ無毒・無加工の原材料から行わなければなりません。抽出は低温下、さらに可能なら瞬間冷凍であることが求められます。加熱はほとんど例外なく栄養素にとって敵となるからです。 しかし、たとえ加熱したとしても、より多量の原材料を使えば最終的に「完成品」はできます。つまりあなたが何かの成分が10ミリグラム必要な場合、摂った10ミリグラムの成分に活性があり、きれい(毒性がない)なら問題がないわけで、どのような製品から摂ったかということはさほど重要ではないのです。 私が望むような方法で栄養補助食品を製造していないメーカーでも、適正な品質保証がなされているなら、製品が目的とする品質レベルに達していると考えて間違いはありません。