戯曲
<序章>全ての争いごとは、男が欲しがるものから、はじまる。<展開> 閉ざされた塔に、美しい女がひとり、閉じこめられている。 閉じ込めた悪王から、俺が助け出してやる。 安全な場所に、大切に守っていたのに、 盗賊が、連れ去った。女を救い出さねばならぬ。 盗賊は見つけ出して、皆殺しだ。 どちらでもいい。 そのときの私の心のまま。 どちらがふさわしいかは、私が決める。<終章>時は過ぎ、争いごとは収拾し、全ては終わった。 どうでもいい男でいるよりも、 憎悪されても、忘れがたい男でいるほうが、生きていた証にふさわしい。 しょせん、男は、終わってみれば、 女の思い出の中にしか、安んじて生きる場所は、無い。 想い出を繋いでいくのは、女であって、男ではない。