銀影あゆの釣りライフ　鮎釣り行脚２０１３

[釣りと自分] カテゴリの記事

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• 「釣りと自分」・・・遠い記憶　２２

    ２２ 「そう言えば昨年群れ鮎をやっていた時に良く掛かってたよね　ああいう時には何か別の針を使っているの？」 昨年は東京の秋川が好調で良く行ったのだが、初期はかなりの群れ鮎がいてそこを狙う事もあった。阿仁川産の追いの良い鮎の放流が成功して最初はどこでも良く掛かったけど、段々と群れも狙わないと良い釣果が出なくなって来た時に群れを上手くつれる人は良い釣果を出していた。 「イカリで掛かる時は群れの状態も良いんでしょうけど、やはり攻められ続けてくると警戒心が強くなりなかなか掛かりませんね。　いわゆる追わない群れです。食んでいる状態であれば突発的に絡んでくるので良いですが、直線的に泳いでいる群れには追いは期待できないので　こちらから掛けていく釣りになると思います」 「それはどう判断するの？」 「オトリを入れて掛からなければはもちろんですが、入れてから気づいても遅いですし、なるべく入れる前に判断したいですね。　いくつかあると思うんですが、まず群れの形ですね。細長い方が警戒心が強いと思っています。あと密度、泳ぎの速さ、ヒラをどれだけ打つかとかですかね。」 「丸くて、大きい群れで、あまり動かないのが良い群れだと思ってるけど　あってるのかな？」 「あってると思いますよ。動かないって事は何かをしているんでしょうし　警戒感が少ない。追って掛かる可能性がありますよね。キープ力のある　イカリで勝負しても良い状態なんじゃないですかね」 「なんでキープ力のある針が良いの？」 「人によって考えはあると思うんですが、掛かってくれる状況であればしっかり掛けてばらさない事を考えます。　基本は群れ狙いはばらさない事が何よりも大切だと思ってます。」 元々、東京の放流河川で育った渓太は若いが色んな経験をしているようだ

  2008年03月31日

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• 「釣りと自分」・・・遠い記憶　２１

    ２１ もう時間もすっかり遅くなったが、竿についての話は続いていたが、３月から４月の釣具店の展示会で実際にゆっくり見てみて考えようという話でひと段落した。 「そろそろ仕掛けも作り始めないとね」 「針はそろそろ巻き始めた方が良いかもですね。毎年ギリギリで焦ったり　足りなくなったりしますからね」 僕は仕事中にお客さんが少ないと巻いているので結構ストックがあるでも、この時期になると新しい針が出るのでそれも気になってしまう。 「今年はどんな針を使うの？」 「今年は基本的に２種類の針で行こうと思ってます。　ダイワのスピードの６．５・７・７．５号と一角の７・７．５号で」 渓太は言った 「随分と少ないんだね。何か意味はあるの？」 「毎年色んな針を試したんですが、良い針とそうでない針はあると思うんですが、そこに意識をあまり使いたくないというか釣り方や状況をもっと　今年は突き詰めてやってみたいんですよね」 「針で悩むって事が結構あるもんね。特に釣れない時や他の人だけ釣れてる時・・・」 「ただでさえハリスの太さ、硬さや長さでも迷いますからね」 「どうしても何か特別に掛かりの良い針とかバランスが無いかって　思うんだよね。贅沢なのかな」 「そのバランスを試したいので、今年は絞ります。　まぁチラシと蝶針は持ってますけどね」 鮎の針は繊細で選び方が難しい。色んなメーカーから多くの針が販売されている。選ぶのも楽しいが、人によって様々な拘りがあるようだ。

  2008年03月30日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・２０

    ２０ 「やはりしっくりくる竿ってありますよね」 「やっぱりそれはスペシャルとか高い竿なの」 「そうとは限らないというか、例えばダイワのプライムなんて凄い良い　　竿でしたね。特にＴでは無くＦが良かったです。なんとも良い感じで　泳がせと引きが出来る不思議な竿でした。 ２番を折ってしまってしばらく使っていなかったですが、やっと　パーツが見つかったので、２年振りに今年は使いますよ」 「もうかなり前の竿だよね。マキシムなんかと同年代だよね　確か金色の竿だよね」 「そうですね。マキシムは青でした。競技が赤くなった頃の竿ですね　青かった頃の競技でも良い竿があって、昨年調子を似せた竿が出ま　したけどね」 「なんだか普通の人がカタログを見て自分に合った竿を見つけるのは　難しいよね。」 「展示会はもちろんだけど、川で実際に使えるようなイベントを　良心的な釣具店がやっているから、それまで待って買うとか　新製品を買わないで、1年待って買うとかしかないかな」 「買って違ったじゃ痛すぎる金額だしね」 「そうですね。後は買って直ぐに良かったとピンと来るような竿か　じっくり使っていって段々と使い易くなるのかというのもあると　思います。買う前にどういう釣り方をしたいからこの竿っていう選び方をした方が良いですね。なんとなく良さそうだと、一番良くないは竿に無理に釣り方を合わせるような事になると自分の釣りがおかしくなりますから」  僕が始めた頃は、軽くて持ち重りがしなくて、シャンとした竿が良いと教わった人に聞いて選んでいたが、考えれば考えるほど竿選びは複雑になっていく・・・・

  2008年03月13日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・１９

  １９  渓太が言っているような事をメーカーも思ったのかは分からないが今年はスーパーメタルトップという感度重視の穂先がソリッドモデルにも用意されている。これは元々感度重視のカワハギ竿の極鋭モデルに搭載されて好評だったものだ。昨年のグランドスリムで話題となったけど、僕の周りで使っている人がいないので、詳しい事は分からない・・・。ただ、ソリッドモデルのＳＭＴは曲がり方にも工夫がされている様でもう少し引ける仕上がりになっているようだただ、カタログや少し持っただけなのでやはり川で使ってみないと実際のところは分からない・・・ 「一つの竿で止め泳がせ、竿誘い、竿泳がせ、引き泳がせ、引き釣り　が出来たら一番良いのにね」 「それはメーカーも釣り人も考えているでしょね。でも、中途半端な竿に　なるのが一番怖いですよね」 渓太は以前に開発中の竿を使って感想を言うテストに参加した事があると言っていた。黒くまだ塗られていない竿で実際に釣ってみて感想を書くのだと言う。 「テストした時に良く分からない竿ってありましたよ　どう使えばいいんだろう？なんて・・・コンセプトはあるんでしょうけど、伝わらないのか、使い方が分からないのか、上手い人や本職のテスターはどんな竿でも釣るけど、僕にはどうにもならない竿があったなー。」 「そういう時はどうするの？」 「これ位の時間は使ってくださいって言われるんだけど、諦めてしまう　竿もありますよ。だって２０センチでまったく抜けない竿なんていうの　　　　　　もありましたから（笑）」 「でも、そういう中でこれは！っていう竿もあるんでしょ」 カウンターのには今年のカタログが広げられ、益々話し込んでいくのだった。

  2008年03月12日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・　１８

    １８ それにしても今年の竿を細かく見ていくと、面白い。極太チューブラーや極細チューブラー。感度重視のソリッドや極細ソリッドなど。竿の調子にしても、先調子の物が多い気がする引き釣りやソリッドばかりでなく、オールマイティーの竿も復活気味だ。 「ソリッドに感度が伴ったらかなり最高の竿になるんじゃない」 デミグラスソースを保存用のホテルパンに移しながら僕は言った。 「確かにそうかもしれません。鮎を探るセンサーなんてカタログにかいてあったけど、今まではそこが足りなかったですからね。早い釣りは正直、チューブラーに軍配があると思ってますよ」 渓汰は先日釣ってきたワカサギのマリネを食べながら言った。卵を持ったのもいるようで、春が近いことを感じた。 「縦・斜めの操作はソリッドでもそんなに負けないというか、縦は勝てるでしょうね。ただ、横の動き。引き釣りになった時の操作性にどうしても差が出るんだよね」 「さっき言ってたように、早い釣りってこと」 「そうですね。活性が高いときや目の前を通過するオトリに反応する時や筋で良い反応が出るとき。」 「石の周りで掛かるという場合の逆のような感じだね。」 「そうですね。止め泳がせで掛からない場合や場所です。引き泳がせ、引き釣りが有利に場合です」 昨年は僕もソリッドを使って見たのだが、まだ良いところや悪いところがそんなにも分かっている訳ではない。最初は分からなくてソリッドにナイロンの糸を付けて、違うと言われたっけ・・・。

  2008年03月08日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・　１７

    １７ 渓太は割箸を持って身振り手振りまでするようになってきた。僕もカウンター越しにかなり身を乗り出して話していた。 「でもそんなソリッドの釣りも皆がやるようになってあまり釣れなくなったと」 「そうなんでしょうかね。でも攻める人は確実に増えたでしょうね。この釣り方はある程度、時期と場所が限られると言うか、もっと他の釣り方やポイントが釣れる時の方が多いのかなと思うときがありますよ」 「カタログには瀬に入りやすいとも書いてあったね。だから瀬で使えるというイメージを持っている人も多いと思うよ」 「書いてありましたね。でも、瀬にも色々ありますからね　チャラ瀬も瀬ですから　ハハハ。　ガンガン瀬でなんて聞くけど人によりますよね。　首まで入って始めて瀬釣りという人もいるし、腰上で瀬釣りと思っている人が　多いんじゃないですかね」 「流れの速さにもよるよね。でも、年々荒い瀬は怖くなってきたよ」 「やはり強い瀬には一発で掛かる鮎がいる。そればかり狙ってはいけないけど、そういうのも１日のローテーションとして釣っていかないと」 「そうだね。やっぱり数を釣る人って色んなポイントで釣るし、得意な釣り方があるのはもちろんだけど、動くもんね」最近は朝、瀬　昼ト、ロ　夕　登り　のセオリーが通用しない事があるけ　ど、でも夕方の瀬肩なんていい思いすることあるもんね」 話をしていくと、昨年は細かく自分で引く筋を作って探っていく、足を使ってどんどんポイントを見つけていくという釣り方が良い結果を残したようだった。やはり鮎の感度というか、そこに鮎がいるのか？追い気はどうなのかという判断が早いか、きちんと出来るかが重要になってきていると思う。いるはず、掛かるはずでは時間やタイミングを逃してしまう。最近ではメタルや複合ラインが当たり前になってきたが、それ以上に感じるタックルが必要になってきているのではと思うのであった。

  2008年02月28日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・

    １６  「最初は簡単な竿というコンセプトだったのかな」 「そうなんでしょうね。だからこれはこれで良いのかも知れません。　ただ、止め泳がせは得意な竿ですよ。カタログ通り尾も良く振っていると思います。でもこれで掛からないと次が大変ですしね」 「 大変って言うと」 「引くのか泳がすのか、いずれにしても動かさないと掛からないという　事だから、引くには先が弱く胴が引き抜く為に硬い竿では上手く　出来ないし、ソリッドを使っているのでラインは天上がフロロかＰＥ．　水中糸は複合以上ですから、ラインで泳がないので微妙な操作で泳がせる感じになるので、結構神経使いながら慣れが必要なんだよね」 「 ソリッドって出たときに凄くインパクトがあって、穂先だけでもなんて皆で変えたけど、結局使っている人少ないもんね」 「そうやって皆で使うから、止め泳がせで掛かる鮎がいなくなるんですよー。でも、意外と止め泳がせってしっかり出来る人って少ないんですよね。泳いでいれば鮎は自然と尾を振るし動きも良くなるけれど、一箇所に止めているとどうしても不自然なというか、闘争心を起こすような泳ぎが出来ないんですよね。」　「そう言われると、一箇所で止めて沢山釣る人ってあまり見ないねしっかりと止め泳がせが出来る人って少ないんだね」 「弱いおとりだと底にくっつくか、石裏に頭を突っ込んだりと仕事をしない。　元気なおとりだと一箇所に止まっていない。　うろうろは最高だけど、抜けて行ってしまうのが一番困りますね」 「確かに、弱いおとりだと根掛かりが増えるよね。困った時の釣り方という　イメージがする釣り方だね。あまり好きな釣り方では無いよ」 「そこなんですよね、意外と簡単そうで難しい。石の周りなんていう最高のポイントでも１－２匹で見切る人が多いので鮎はかなり残るんでよね　少し追い気の弱い奴が。それをしつこく攻めると釣れるのがソリッドでの　この釣り方の魅力。」 やはり、技術的な話になると２人とも燃えてくるのであった。

  2008年02月27日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・１５

    １５  「まったくですね。フィッシングショーに行っても、鮎のコーナーは以前に比べて、活気が無いですよね。目新しい新製品が無いのもいけないけど。　あんなのはお祭りなんだから、もっと人が集まらないと駄目だね。　メーカーも材料費が高騰してつらいんだろうけど、新製品がこんなにも出ない年なんて記憶に無いな。だってベストやタイツも出ないなんて考えられないね。」 「前は毎年、何か新しい素材や技術があってどんどん進化してったイメージ　だったものね。」「大好きなダイワはどうだったの」 「今年は新製品に期待していたけど、うーーん。　銀影競技は短いのが出ただけ。期待のスペシャルはＡとＳＦですね。　ゼロドライブは分かりませんから。」 「また今年もＳＦでソリッドなんじゃないの」 「どうでしょうね。ＳＦもＳＭＴが搭載されたり、作り方や調子が変わって　面白いと思いますが、曲がり方がどうもシマノのＲＳに似てるんですよね　ＳＦは製作に関係している人が知り合いなので、悪く言いたく無いんですが、どうも迷いというかしっくり行っていないのではと」  「シマノの方が良いって事なの」 「それは俺の口からはどうも・・・　でも、シマノのＲＳのソリッドの方が操作性は良いと思います　初代のＳＦはただ曲がるだけ。もちろん競技の専用竿ですよ」 「今使っているやつね」 「そうです　やはり操作性は厳しいですね　柔らか過ぎます。操作が必要な状況では何も出来ないというのが本音です　ちょっとづつ刺激を与えて泳がすには良いですが、早い泳ぎや管理泳がせという昨年に有効だった釣りには向きません　逆に、思った釣りが出来ないので神経を使いますね　釣れないとき、おとりに無理がかけられない時には良いですが、１日の釣果としては満足がいかないですね」 渓太の目が今年も色々と考えているんだろうなと僕にも分かった

  2008年02月23日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・

    １４  「何の話なの」 「まだ直接確認した訳じゃないけれど、何か鮎が真っ赤になって死んでしま　　う病気が発見されたらしいんだ。」 「えっ！どこから聞いたの」 「今朝仲間から電話で聞いたんだけど。朝日新聞か何かに載っていたらしいよ。詳しくは分からないけどね」 なんだか気持ちが沈んでしまった。ただでさえ鮎には冷水病という独自の病気があり、今年も多摩川では解禁当初から沢山の鮎が死んでいた。水温が安定しない５－６月は発症することが多い。多くの河川でこの病気に悩み、恐れている。放流だけに頼っている河川ではシーズンを棒に振ってしまうくらい深刻だ。伝染性があり、他の河川から持ち込んでしまわないように、最近では釣具の消毒がマナーと言われるくらいだ。 「多分、これも感染系だね、きっと。昔、熱帯魚店を経営していた時に海外から輸入してくる魚で、急な水温の変化をおこしてしまうと、体内から鬱血しているように真っ赤になってしんでいる魚を見た事がある。　鮎にだけとは限らないと思うけど、真っ赤になって死んでいる魚と同じ袋で運ばれてきて、元気に生きていた魚も、結局後から赤くなって死んだものな」 本当だったらなんとも恐ろしい話だ。都会の川でもやっと水が綺麗になったらしく、以前よりも遠くに行かなくても良い釣りが出来るようになってきたのに。昨年は相模川でも３０匹を越える釣果が良く聞こえていた。 「何かの間違いで、そんな病気が出ないと良いね。　ただでさえ鮎釣り人口が減っているっていうでしょう。　どうなっちゃうんだろうね。」

  2008年02月22日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・

   １３  店内には当然ながら変な空気が溢れた。もう音楽もＴＶも関係なく、何もかもが噛み合わないような変な時間が流れた。なんとか挽回しようと思うのだが、気の利いた言葉も見つからない。それどころか、誰も何もしゃべらない時間が流れた。そして、うつむいていた２人が目を合わせた時、同時に席を立ったのだった。 何にも無かったようにＴＶは流れ、「焼きうどん」は本を読んでいる。カウンターには飲み残したスコッチのグラスが２つ。こんな事が無かったらもう少し、いようとしていただろうと感じられる位まだ半分以上残っていた。 いつになく厳しい顔をしていたのだろうか、渓太が僕の顔を覗き込むように見ていたのに気づいて、はっとしてしまった。 すっかり、どこまで話をしていたか忘れてしまったので、「今年の鮎はどうかねーー」彼と目線をそらすように言った。 「今年は、東北や北陸も雪が多いみたいだから、遡上はいいんじゃないかな　和歌山も、もう復活して昔みたいに楽しませてくれるといいんだけど」 昨年は珍しく東北方面の遠征に失敗した彼は、笑いながらでも力強く話していた。 「今年良さそうだったら、和歌山で民宿を始めた水音さんのところに行こう　　　　よ。奥さんも良くなって、二人で頑張っているって話だから、泊まらせてもらって３日位の遠征に行きたいね」 「近くに色んな川があるらしいからね。羨ましいよ。随分前になるのかな、　日高川で１００匹越えなんていうのをスポーツ新聞で見て、行きたいなーって思ってたよ。束釣りなんて一度でいいからやってみたいよ」 毎年、渓太に遠征に誘ってもらうけれど、この店があるから行けない僕の妄想のような話だけれど、なんとなく今年は何日か閉めても良いかなという気持ちになってきた。少し気持ちが昂ぶって来たところで、 「だけどちょっと今年の鮎の事で気になる話があるんだよね」彼が呟いた。

  2008年02月21日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・

   １２ 「焼きうどん」がいつも座るこの席には沢山の思いがあった。店の奥の角で良い場所という事もあり、テーブルもイスもちょっと気取った良いものが置いてある。もちろん、お店として全部統一しなければいけないのだが、始めた頃から、儲かっている時が無く、将来全部このテーブルやイスにしようと思い描いた場所が残っているのだった。 岐阜から毎年、鮎時期になると同じブログで知り合った方が、鮎を釣りながら訪ねて来てくれる度に、座っていただいた。他にも、インターネットでうちをもっと雰囲気の良い店と間違ってか、予約してくださるお客さんに申し訳ない気持ちを込めて、座って頂くのだった。 そこを「焼きうどん」は自分の指定席のようにいつも座っていた。それを僕は苛立たしく見ていたが、最近は無感情になっていた。しかし、このテーブルを叩いた事で、今までの感情がどこからでもなく沸いてきたようだ。 「失礼ですけど、ＴＶ見てませんよね」 僕はカウンターから出て奴の目の前まで進んでいた。 「見てるから言ってるんだよ！」 ありきたりな言葉だった。しかし、テーブルの上には、ブックカバーで覆われた本と、少しこぼれた紅しょうがあった。 「あなたはいつもここで本を読んでいるんでしょう。どうせいつもＴＶなんか見ていないんだ。ここはあなただけの店じゃない・・・」 もっと言いたいことがあった筈だ。しかし、これ以上口から出てこなかった。怒りで、口元が震えて頭が熱くなっていた。 「まぁいいよ別に。揉める程の事じゃないよ」 最悪だ。この２人のお客さんに止められるような形になってしまった。この２人は当然、今までの経緯なんて知らない。なんだか僕は酷く感情的な人間に思われただろう。 カウンターに戻る僕の後ろからなんとも嫌な視線を感じていた

  2008年02月18日

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• 「釣りと自分」遠い記憶・・・

    １１ 「いいねー。そういうの待ってたよ」 良いほうに転がったようだ。さて問題は中身。ちょっとあてがあったあのＣＤを探してこよう。昨年、僕の車で新潟に遠征に行ったときに、ブルース好きな、釣りクラブの先輩が「少し貸しておくよ」と言ってくれたＣＤだった。あれだけブルースの好きな人のお勧めだから大丈夫だろう。車のグローブＢＯＸからそのＣＤを取り出し、急いで店に戻った。 しばらく使っていないＣＤデッキ。使えるか心配だったが、問題は無かったようだ。 「いいねー。深いのがいきなりくるねー」 何やら、良いらしい。この曲がどうとか、このシンガーがどうと言われたら、どうしようかと思っていたが、２人ともすっかり、曲とお酒の世界に入ってくれたらしい。 ところがしばらくすると、どうもＴＶの音が耳障りになったらしい。２人は時折後ろを振り返り、誰も見ていないのを確認すると、 「マスター、ＴＶ消そうよ」 と言ってきた。僕も誰もみていないのだろうな、と思いおもむろに消した。すると、あの「焼きうどん」が、 「ＴＶ見てるんだよ」 と怒りを含ませるように言った。僕とカウンターの２人が驚いたのは言うまでもない。そして奴は、少し遅れてテーブルを「ドン」と叩いた。僕はこの店を始めて以来の怒りを感じた。奴よりも、テーブルを見てしまった。それは、少なくなった僕の拘りのがその席にはあったからだ。

  2008年02月17日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・

    １０ 少し飲んできたという落ち着いた雰囲気の２人に、スコッチを出した。水も氷もチェイサーも欲しがらず、「良いね」と言ってくれた。何杯か色々な銘柄を出し、随分と気に入ってもらったようだ。 少し良い時間が経ち、この２人のお客さんから「そう言えばさっきから聞こえてる音楽はゆうせん？」という質問をされた。まったく無意識なというか、ここ最近チャンネルさえも変えずにいたので何かとんでもない音楽でも流しているのかと自分の耳ですぐに確認した。「ええ」と力も無い声で答えると、 「そうか、じゃあいいんだけど。なんて言うかこうアンバランスな　組み合わせだったから」 何やらＪＡＺＺというチャンネルを垂れ流しのように音楽を流していたが、どうも分かる人には有り得ない曲順だったらしい。 知識をひけらかす様な人では無かったのであまり詳しくは言わなかったが、２人は俯いて苦笑いしていた。 「マスターのお勧めの音楽は無いの？」 ドキ！っとする一言だった。もちろん、お店の雰囲気に合わせた音楽を考えていた時期もあった。しかし、前にも書いた通り、今はとっくにそんな店では無かった。今はスイッチを入れるだけのゆうせんすら誰も聞いていないと思っていた。 「そうですねーー」と曖昧な返事をして考えた。困ったぞ・・・唐突に、思いついた様に「ブルースなんかいかがでしょう？」なんとも言い方が悪い。今日のお勧めのメニューでも聞かれたかのようなそんな言い方だった。

  2008年02月16日

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• 『釣りと自分』・・・遠い記憶　８

    ８もう渓太以外は、１人のお客さんしか残っていなかった。いや、お客さんではない・・・。僕はどんな事があっても。客とかお客とは言わない。それは自分店に来てくれる方へのマナーであり、感謝だと思っている。従業員であった頃は、聞かれなければ良いという気持ちがあったが、やはり、自分でやってみるとお客さんの有難みが切実だ。しかし、あえて言う。残っているのはお客さんで無く、「焼きうどん」だ。 なぜこの男が「焼きうどん」なのだろう？僕が勝手に呼んでいるだけなのだが、この男との因縁というか、変な思いは、この男が初めて店に入ってきた、もう３年前から続いている。 いきなりの注文が焼きうどんだったのだ。ちなみに、うちの店には焼きうどんというメニューが無い。何かの時にあまった材料で酔ったお客さんに出したのかも知れない。しかし、なんで初めて入ってきたはずの男が焼きうどんを知っていたのだろう。こんな小さな店ではたいていのお客さんの顔を僕は覚えている。しかも、注文する時に当たり前のようにしていた。そして、「紅しょうが多めで」と・・・。僕は首を傾げてしまった。店を間違えているのでは？とさえ思った。 それからこの男は、ずっと、店の定休日の前の日にやって来て、焼きうどんを注文するのである。酒も飲まずに閉店時間までいる。ブックカバーの掛かった本を難しそうに読んでいる。そして３年経った今でも、「紅しょうが多めで」と付け加えるのである。 どこにでも、変なお客さんはいるのだろう。しかし、優柔不断で怒ったことの無い僕が、ここまで嫌になってしまうのは、ちょっとした諍いがあったからだ。 誰も見ていないようなＴＶの無意味な音がまた僕を苛立たせていく。 

  2008年01月26日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・７

    ７気がつくと彼も同じ照明を見上げていた。そして 『だからね、どこか連れて行ってもらえるとしたら　いつも釣りなんですよ。』 僕もしばらく照明を眺めていたからか、目が眩んで彼の表情が良く分からなかったが、なんとなく複雑に感じた。 『だからか、分からないけど、古い写真が実家に残っていて、笑っちゃうんですよ。だって母親が言うには、３歳頃なのにリール竿持ってましたからね。鯉のぶっこみでもやってたんでしょうね。』 『３歳？うちの子なんてやらせて見たけど、見てらんないし、　自分の釣りは出来ないからで、もうずっと一緒に行ってないな。』 『放って置かれたから、勝手にやってたんでしょうね。　だって真夏の炎天下で子供を置いてどっか見えないところまで　行ってしまうんですからね・・・自然に覚えますよね』 彼は他にも、実家には釣り専用の部屋があって、色んな道具が有った事も話していた。特に、親父さんが仕掛けを真剣に作っている時にその部屋に入ると、何故か凄く怒られたという話が印象的だった。その部屋で仕掛けを作ったり、道具を触って良くなったのは小学生の高学年になった頃だったという。道具に関しても親父さんがこれを使えという物を黙って使っていたようだ。道具や釣りに関する考えはまた後日に彼から聞くことになるのだが、驚いたのが、鮎の仕掛けに関しては、まったく教わったことが無く、 『それこそ、記憶が無いくらい小さい頃は、当然親父のを使っていたけど、小学生の５年生位からは、仕掛けも全部自分で作れって言われてたな。』 そう彼は言っていた。 彼の家には独特の釣りへのルールというものが有ったのかも知れないなと僕は考えながら、また１組のお客さんの会計を済ました。  

  2008年01月20日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・６

    ６親父さんは名手だったって聞いてるけど、何で教えてくれなかったんだろう。会計が終わり、お客さんの席を片付けながら僕は疑問に思った。 『銀影ちゃんは色んな釣りをやるけど、それも親父さんから教わって無い　って事？じゃあ、全部独学な訳なの』 『そうですねー。親父はほとんど鮎釣り一本だったから、他の釣りと言っても、一緒に行ったのは、渓流の山女とかワカサギとかくらいかなぁ　あと１回だけ親父の付き合いの同伴でハゼに行ったっけ。』『親父が結婚する前とか、俺が生まれる前は他の釣りもしたらしいんだけど、あまり聞いた事が無いなー。道具は沢山あったけどね。』 彼の親父さんも飲食業をやっていたという。きっとお店の忙しさから色んな釣りが出来なくなったのかも知れない。僕のように・・・。彼に背を向け、グラスを拭きながらそう考えていたら、彼の口から驚く事を聞いた。 『うちの親父は夏になれば鮎に行ったきりで１ヶ月以上も帰ってこない　なんて事もあったからなー。僕らと一緒で狂っちゃったんじゃないかな　鮎に。ハハハ』 『えっ！だってお店やってたんでしょ？』 週に１度しか休めなくて、ただでさえシーズンの短い鮎釣り。たまの休みに川が濁ってしまうともうがっかりなのだ。そういう時は遠い川でも出来そうであれば行ってしまうのだが、シーズンが夏ということも有り、全国的な台風だと諦めるしかないのである。 『そうですよ。お店はやってましたが、とにかく夏以外は滅茶苦茶に　働いて、夏は一気に休むんですよ。　子供ながらに心配になる位にね。俺には（夏は暇なんだよ）　なんて言ってたけど、まさかそこまでして鮎釣りに行こうと　しているなんてね。凄いと思うけど、母親は呆れていましたよ。』 なんと剛毅な人だろうと僕は思った。体調を崩して何日も休めば常連が減ると思い、実家に帰るのも正月だけにしてなんとか自分の城を守ってきたけれど、世の中にはこんな人もいるんだと、僕はオープンしてから変わらない、この店の随分悩んで買ったカウンターの照明を少しばかり見上げていたのだった。

  2008年01月19日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・　５

    ５『それで、初めての鮎はどうだったの？』 なんだか照れくさそうに彼は言った。 『だから、釣ったとか、掛けたじゃなくて・・・こうなんて言うのかな、　その時のまま言えば、なんか重いよだね。　ただでさえ、その当時の鮎竿は凄く重かったんだから、落としそうな位に　なったんだと覚えてるよ。』『そうして親父に、重いことを告げても中々、来てくれず、めんどくさそうに（ほんとに重いのか？エビじゃないか？）と言われて竿を渡したんだ』 『そしたら掛かってたの？』 『そうなんだね。そして（せっかくだからもう一回竿を持て。お前が掛けた鮎だからな）と言われて、全身で必死に竿を支えて、親父が下流に行ってタモで掬ってくれたのを覚えてますよ』　　　　 また照れくさそうに笑いながら、 『まぁ取り込みまでしていないから、本当に釣ったことにはならないんだけど、凄く衝撃的なひきというか、忘れられないんだよねー。　それからきっとしばらくたって、取り込みまで一人でやるようになるんだけど、そこは何故か覚えていないんだよね』 『本当に教えてくれない親父だったから、どうやって取り込んだり、ハナカンを付けたり覚えたんだろうね？なんか中間の記憶というか、なんだか曖昧なんだよね』 彼が話し終える前に会計が入ったので続きがあったのか分からなくなってしまったが、急に笑顔が消えて、一人カウンターでタバコに火をつける渓太には、自分の記憶が曖昧になっているのに、あまり深く思いださないでいようとする気持ちがあったのかも知れない。それは、６歳前後の記憶が曖昧になるような衝撃的な事件があったらしいと聞くまでは腑に落ちない光景だった。

  2008年01月15日

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  『釣りと自分』遠い記憶・・・　４

   ４ 『そうそう。鮎を初めて釣った時はどうだったの』　少しの沈黙の後に話を戻すように、僕は言った。 『そうだね。釣ったと言ったら怒られるかな？　友釣りででしょ？　あれは親父に竿を持っていろと言われた時だったね。』 『良くは覚えていないんだけど、オトリを移していたのか、何か後ろでゴソゴソやっていたよ。でも、随分と長いと感じたんだ。それは覚えている。』 オトリとは鮎釣りに使う大事なモノ。いや、モノでは無いか。鮎釣りとは大きく分けて４種類の方法があると思う。渓太が話していた、えさで釣る方法。他にも渓流で使うような４～５メートル位の竿で釣る方法もある。えさ釣りはやって良い川と時期があるので注意が必要だ。もしかしたら、渓太がやっていたのも、鮎を釣るのには、禁止された川や時期だったのかも知れない。しかし、子供だから許されたのか、やって良かったのかは今では調べる事も出来ない。 他には、えさの替わりに毛ばりで釣るドブ釣りもある。友釣りしかやらない僕は、小田原の早川という川で、すぐ近くでドブ釣りをやっているお爺さんを見たときに、あまりにも釣れるのでびっくりした経験がある。おそらく、１００～２００匹が釣っていたであろう。 あとは、コロガシという、簡単に言えばハリを沢山つけて、川の中をひっぱり廻し、引っ掛けてしまうという荒っぽい釣りだ。僕は最初に、お客さんに誘われてこの釣り方から鮎を始めた。しかし、彼に言わせるとこれは釣りでは無いと言う。いつもコロガシの話題になると嫌な顔をするので、きっと何か訳があるんだろうと思う。 僕も今に思えば、ふとした事から友釣りを始めてからは、もうコロガシをしたいとは思わない。それだけ友釣りというのは、奥が深く楽しいのだ。そう、この友釣りの友というのが、オトリなのだ。では、オトリとはつまり鮎そのものなのです。鮎で鮎を釣る。すなわち友釣り。なんだかおかしな話ですが、鮎の習性を利用した、唯一の釣りなのだ。だからこそ難しく、沢山の人が嵌るのであろうと思っている。小田原の早川

  2008年01月14日

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• 『釣りと自分』・・・遠い記憶　３

   ３『あんま釣りでも鮎が釣れたんだからねー。凄い時代だったのかな』 『あんま釣りって何？』 『あぁ。こう？うーーんなんて言うのかな。６尺位の竿っていうか、棒でもいいんだけどね、釣りだから竿か。まぁいいや。とにかく、その先に少し竿より短めに糸を付けて、針とがん玉は流れと魚次第だね。』 『餌はさぁ、川虫。難しい仕掛けよりも、動作が大事なんだよね。　こう、アクションっていうのかな？』 渓太は立ち上がって、中腰で竿の様に持った割り箸で押したり、引いたりして見せた。 『こうやって誘うんだよね。あと、重要なのは足元の石を静かに動かして、　魚を集めるんだよね』 『石と魚と何か関係があるの？』 竿でも棒でもいいなんて言う釣りや、あの変な動きで釣っている人間を川で見たことの無い僕は当惑していた。 『石に付いている川虫を剥がして、撒き餌さみたいにするんだよね　意外と腕の差？足の差が出るんだよね　ハハハ　これで鮎が１日に３０匹や５０匹釣れたんだからねー』 近頃、仕事のつまらない話ばかりしていた僕らは、久しぶりに渓太の笑った顔を見た。年明けの新年会の時期だというのに、今年は随分と暇で、店内にはもういくらもお客さんは残っていなかった。いつか自分の店を持つんだったら、こんな店にしたいと思って始めた１０数年前と、今ではすっかり違ってしまった。一番置きたくないと思っていたテレビから、近頃一段と酷くなった、くだらなくて、うるさいお笑い番組をなんとなく流していた。ちらっと見た視線を彼も分かったのか、 『最近では時間に関係なくこんな番組をやっているんだね』 二人とも少しうつむきながら苦笑いをした。 

  2008年01月14日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・　２

    ２『いつ頃だろうねーー　覚えていないな』タバコを灰皿に押し付け、最後の煙を吐きながら渓太は言った。思い出した様に、記憶を整理する様に少し間を置いてから、『始めたのは分からないけど最初の１匹は覚えているよ。　確か、場所は狩野川だった。いや、間違いない。親父と小さい頃に　行くのは決まって狩野川だったから。』 鮎釣りを始めてまだ７年位の僕は、少し昔の鮎釣りや沢山の川を知らないが、昔は鮎釣りと言ったら、関東の釣師はみんな狩野川に行ったものさ。と、色んな人から聞いていた。 『そうか、狩野川かー。なんか僕は狩野川って、いい釣りしたって記憶が無いんだけど、そんなに昔は良かったの』 解禁の時に少し良い思いをするけれど、他の時に行っても小さい鮎しか釣れなかったり、流れの強い通称、瀬と呼ばれるポイントが好きな僕は、あまり詳しくない狩野川に興味が無かった。 『どうなんだろうねー。良い・悪いが分かる程の腕前では無かったし、　なんせ、さっき言ってた始めての鮎って多分、４歳頃だよ。』 『そんな小さい頃からやってたのー。』 『やってたというか、やらざるを得なかったというか・・・　まぁ鮎はとにかく沢山いたと思うよ。』 そう言えば、彼の親父さんは鮎釣りの名手だったと聞いている。だから、そんなに小さな頃からやっていたのだろう。そして、遠い記憶を探しながら、彼は話を始めた。

  2008年01月13日

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• 『釣りと自分』遠い記憶・・・　１

    いつからだろう・・・釣りに対してこんなにも意識をしたり、違和感をかんじるようになったのは・・・ ふとタバコの煙をまわしながら、彼はそう呟いた彼とは同じ趣味からブログで知り合い、いつしか僕の店の常連になった男。釣り仲間やブログでは銀影と呼ばれている渓太だ。 年は僕より５つ下くらいだから、３０の真ん中くらいだろうか。落ち着いて見えるのは、彼がもう１０年以上営業をやっていて、年上のお客とばかり商売をしているからかも知れない。 僕の趣味も釣りなのだが、商売をしているからそんなにも色んな釣りは出来ない。だから、今もっぱらのめり込んでいるのは鮎の友釣りだ。渓太もいろんな釣りをやるようだが、やはり色んな事情で、最近は鮎ばかりという感じらしい。本人はその辺りも面白くないみたいだ。二人とも今はオフシーズンという感じなので、鮎の話は少なくなり、良く店で仕事の愚痴をこぼしていく。 年も新しくなり、今年はどうするの？なんて久々の鮎釣りの話から、『そういえば鮎釣りはいつ頃から始めたの』そんな会話から、一人の青年の釣りや魚との関わりや人間が分かってきたのだ。

  2008年01月13日

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• 釣りと自分

  そんな訳で遠い記憶からさかのぼって書いてみたいと思います。ただ思い出しながら書いても面白くないのでayupapaさんのように少し小説のように書いてみたいと思います。こちらはほぼノンフィクションで（笑）どこまで続くか？どういう内容にするか？考え中ですが、文章力がないので、ただ淡々とあった事を書かないように気をつけます

  2008年01月12日

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